DX化に向けて! ベネッセが加速させる自治体職員間のリスキリングネットワーク
リスキリングネットワーク キックオフイベントの様子
<「スマート自治体」実現のためリスキリングネットワークを構築。職員たちの情報交換の場を提供>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
ベネッセグループの中で、学びに対する支援と意欲を高める教育の実現を目指す株式会社ベネッセコーポレーションは、2023年5月に「全国自治体リスキリングネットワーク」を発足した。この取り組みは、自治体職員のDX人材育成支援を行うことで「スマート自治体」の実現を加速させることを目指すものだ。
自治体職員のDX・ITの学びのプラットフォーム「全国自治体リスキリングネットワーク」
日本は現在、世界トップクラスの高齢化率(28.9%、2021年統計)であり、2040年には高齢者が全人口の35%とピークを迎え、労働力不足も深刻化することが予想されている。そのため、自治体は従来の半分の職員でも本来の機能が発揮できる「スマート自治体」への転換を迫られているが、各自治体の現場では職員にITやDXの知識が不足しているのが現状だ。
株式会社ベネッセコーポレーション(以下「ベネッセ」)は、2020年12月から、日本におけるUdemy社の独占的事業パートナーとして、「Udemy Business」を活用した行政・自治体向け人材育成プログラムを提供している。自治体にヒアリングを重ねる中で、自治体間の情報交換ができるプラットフォームづくりが必要と考え、2023年5月に45自治体と「全国自治体リスキリングネットワーク」を発足した。
リスキリングとは、これからの時代に必要とされる新たなスキルや知識を身に付けさせる教育のことだが、現在急速に自治体職員にも必要とされているDXの知識や人材育成のノウハウを自治体同士で共有できるようにするのが、「全国自治体リスキリングネットワーク」の狙いだ。
「2021年に自治体に対して調査を行ったところ、職員によってIT知識に差があり話を進めづらいことや、DXをどう学べばよいかわからないといった課題が浮き彫りとなりました。さらに自治体へヒアリングを重ねる中で、各自治体は似たような課題をもっているものの、その課題を共有したり、DX人材育成の先進事例を知る機会がないことがわかり、自治体間で情報交換できるプラットフォームづくりが必要だと実感。生活者を支える自治体職員への学びのインフラづくりを目指し、『全国自治体リスキリングネットワーク』発足へと繋がりました」と、社会人教育事業本部の飯田智紀氏は話す。
ネットワーク発足後は、キックオフイベントを開催したほか、オンラインで事例共有会を行うなど、定期的な情報交換の場を設置している。また、特設サイトやメルマガ配信を通して、各自治体の取り組みや専門家による最新情報を発信。2023年12月末までに、参加自治体は都道府県の4割を含む87自治体に広がっている。