最新記事
SDGsパートナー

ボイセンベリーがつなぐ、シーエスラボの耕作放棄地活用と地域創生の挑戦とは?

2023年12月26日(火)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
ボイセンベリー

「ミラクルベリー」と言われるボイセンベリーはいまや館林の名産品に

<なぜ化粧品会社がキイチゴの一種ボイセンベリーで地域社会を再生したのか? そこには厳しい気候と高齢化による耕作放棄地が背景にあった>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

戦後、約9割を誇った日本の食料自給率はその後、緩やかに割合を下げ、2000年代には4割、そして2018年には過去最低の38%を記録した。世界各国と比較しても格段に低い食糧自給率は長年、問題になってきたが、その原因の大きな1つが、高齢化による農業生産者の減少とそれに伴う耕作放棄地の増加といった、農業の衰退が挙げられる。

そんななか耕作放棄地を利用し、キイチゴの一種ボイセンベリーを栽培する取り組みが注目されている。

ボイセンベリーがつないだ、地域住民の連携

photo1-20231213.jpg

群馬県立館林高等特別支援学校の生徒とともに育てる、ボイセンベリーの畑

群馬県にある化粧品OEMメーカーのシーエスラボは耕作放棄地を借り上げて、群馬県立館林高等特別支援学校の生徒たちとともにボイセンベリーを育てている。しかし、なぜ化粧品メーカーがそもそも農業に従事しているのか? 

「ミラクルベリー」と呼ばれるボイセンベリーはアントシアニンの含有量が多く、老化防止の効果が期待され、料理だけでなく、健康食品や化粧品の成分としても注目される健康果実。しかし、収穫量の少なさと販路が限られていることから国内では流通しづらい事情がある。そんな中でボイセンベリーを地域の特産品にしようと考えたのが、地元の化粧品メーカーのシーエスラボであった。

群馬県はからっ風や日照時間の長さ、そして山間部から平地までの高低の変化の大きさから温度や湿度の点で肌に厳しい環境である。そのため、同社は化粧品メーカーとして地域に貢献できる方法を模索していたときに目をつけたのが、この健康果実であった。

農業王国である群馬県も例にもれず、高齢化から農業の担い手が激減しており、耕作放棄地が大きな課題となっていた。そこで若い世代にも農業の魅力を知ってもらうべく、生産団体と連携。地元の特別支援学校と協力して教育支援の一環としてもボイセンベリーをともに栽培する取り組みを始めた結果、今では生徒と農家が中心となって農業を通した連携が地域社会に生まれている。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インドネシア中銀、ルピア圧力緩和へ金利据え置き 2

ビジネス

MS&AD、純利益予想を上方修正 損保子会社の引受

ワールド

アングル:日中対立激化、新たな円安の火種に 利上げ

ビジネス

農林中金の4ー9月期予想上振れ 通期据え置きも「特
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 10
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中