「おさがり」でゴルフ業界を盛り上げ、循環型社会にも貢献...高雄ゴルフクラブが続ける「リユース」の試み
これまでに計3,200本のゴルフクラブが「おさがり」として無償提供された
<ゴルフ人口の減少という自社ビジネスの課題に取り組むと同時に、地球環境の未来にも貢献する「クラブおさがりキャンペーン」>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
ゴルフ業界を活性化させるべく、株式会社高雄ゴルフクラブが2020年に開始した「クラブおさがりキャンペーン」。使われなくなったゴルフクラブをビギナーに譲ることでリユースするこの取り組みは、若年層のゴルファーを増やすことはもちろん、循環型社会に貢献する取り組みとしても関心を集めている。
「おさがり」のゴルフクラブで、若い世代のゴルフ人気を後押し
新型コロナウイルスのパンデミックが猛威を振るっていた当時、ゴルフは「3密」にならずに楽しめる娯楽として注目を集め、若い世代からの注目も高まっている。しかし、いざ本当に始めるとなると、そこにはゴルフならではの「壁」があるという。
実際、日本国内におけるゴルフ人口は、ピーク時の1994年の1,450万人から、2021年には560万人まで落ち込んだ。ゴルファーが高齢化している一方で、若年層の参加率が低下していることが大きな要因だが、そこで「壁」になっているものの一つが、ゴルフクラブが高額であるため躊躇してしまう人が少なくないという問題だ。
この課題に立ち向かうべく、京都市内で大型ゴルフ練習場の運営や、ゴルフ用品の販売を行う株式会社高雄ゴルフクラブは、若い世代のゴルファーを増やすための様々な取り組みを行っている。
その一つが、「クラブおさがりキャンペーン」だ。使わなくなったゴルフクラブを譲り受け、高雄ゴルフクラブを介し、新たにゴルフを始める人に無償提供するという取り組みで、年に1回のペースで開催している。
担当者である山室文人氏は、この取り組みを始めたきっかけについて、「若年層のビギナーが自分のゴルフクラブを所有することで、一過性のブームで終わることなくゴルフへの愛着を持ち続け、業界の活性化に繋げたいという思いで始めました」と語る。