最新記事
トラベル

「兵庫テロワール旅」を通じて、サステイナブルツーリズムの実現を目指す

2023年6月26日(月)16時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
兵庫テロワール旅

公益社団法人ひょうご観光本部

<JR全国6社を主体に、自治体や旅行関連事業者との協働によって行われるデスティネーションキャンペーン(DC)。2023年は兵庫県が14年ぶり2回目の開催地域に選ばれ、兵庫DCとして7月~9月にかけてさまざまなキャンペーンや施策が実施される。その核となるのが、「兵庫テロワール旅」と名付けられたサステイナブルツーリズムについてのブランディングである>

住民が誇りをもって住みたいと思える観光地づくり

テロワールとはワインを語る際に、その味や性質に影響を与える土壌や気候といったブドウ畑を取り巻く環境を意味する専門用語だ。その土地にしかない特徴や個性を指し、転じて古くから根付く伝統や文化、風土を表現する言葉として、広義的に解釈されるケースも見られるようになってきた。

もともと兵庫県は飛鳥時代から明治初期まで続いた令制国でいうところの摂津国(の西部)、播磨国、但馬国、丹波国(の南西部)、淡路国という5つの国が集まって生まれた歴史を持つ。それぞれの国は固有の風土を基盤として発展し、独自の伝統や文化を育んできた。現代でもそのような多様性を内包しているのが兵庫県であり、旅行を通じて各地域に根差した食や文化といった魅力を体験してもらうための取り組みとして、「兵庫テロワール旅」が誕生した。

根幹にあるのは、「住民が誇りをもって住み続けたいと願う豊かな地域社会の実現を目指す」という理念であり、持続可能な観光を意味するサステイナブルツーリズムだ。つまり、環境汚染や自然破壊を誘発することなく、地域の自然や食、伝統、文化などを守りながら観光業を活性化させ、地域住民の暮らしを豊かにする観光地づくりを目的にしている。そして、こうした取り組みが、SDGsに掲げられたサステイナビリティに貢献することを目標にしている。

地場産業の持続性を追求したコラボレーションを展開

nw_hyogo2.jpg

公益社団法人ひょうご観光本部

兵庫県が目標とするサステイナブルツーリズムは、「企画・調達」、「販売・プロモーション」、「移動・運搬」、「サービス・管理」という4つのセグメントに沿って推進される。そして、旅行者や地域住民、県内事業者、旅行関連事業者と良好な関係を築き、バリューチェーン全体で効果の最大化を狙う。

最初の「企画・調達」では、県内の生産者やシェフを起用するなどして、食におけるサプライチェーンのローカル化を促進。旬の食材を積極的に採用し、季節と共に食を楽しむことを提案するほか、兵庫県産の食材を用いたテロワール弁当の開発・販売も予定している。この弁当は、食材の魅力を最大限に引き出す工夫を凝らして食べ残しによる食品廃棄を減らし、再利用できる容器や包装紙を使用するなど、環境にも配慮。商品開発から廃棄に至るまでの工程において、できるだけ環境負荷を生み出さない試みが行われる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米政権、デルタとアエロメヒコに業務提携解消を命令

ワールド

ネパール抗議デモ、観光シーズン最盛期直撃 予約取り

ワールド

世界のLNG需要、今後10年で50%増加=豪ウッド

ビジネス

午前の日経平均は続伸、一時初の4万5000円 米ハ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中