長生きと断食の微妙な関係
Fasting and Longevity
たまの断食や20%程度のカロリー制限でも続けるのは難しい? NENSURIA/ISTOCK
<カロリー制限につながり有益な健康効果もあるが>
適度なカロリー制限に寿命を延ばす効果があることは、さまざまな動物実験で古くから知られている。でも日々の食事量をずっと減らすのは、ちょっとつらい。だったら、代わりに週に1日くらい断食してみるのはどうだろう?
そこで、米ヘルスケア関連企業のカリコ・ライフサイエンシズとジャクソン・ラボラトリー、ペンシルベニア大学の研究者らは約1000匹のマウスを用いて、カロリー制限や断続的断食がもたらす健康長寿効果を比較し、その結果を英科学誌ネイチャーに発表した。
研究を主導したアンドレア・ディフランチェスコとゲーリー・チャーチルによれば、目指したのは「(同系交配の実験用マウスではなく、より自然な)遺伝的に多様なマウスを用いて老化の基本的な仕組みを検証し、寿命延長を意図した人為的介入に対する反応を評価」することだ。
マウスには5種類の食事法のうち、1つを無作為に割り当てた。①無制限に食料にアクセスできる、②1週間のうち1日は断食、③同じく2日連続で断食、④摂取カロリーを標準より20%減らす、⑤同40%減らす、の5つだ。
結果、どの食事法にも一定の寿命延長効果が見られたが、その強弱にはかなりの差があった。体温低下や食物の探索行動(空腹を意味する)、血流や免疫システムの変化など、有害な兆候が認められることもあったという。