【医師が勧める40代からの健康診断】がん死因の女性1位、男性2位「大腸がん」の検査と初期症状

2024年4月25日(木)16時49分
石井 洋介 (医師、日本うんこ学会会長)*PRESIDENT Onlineからの転載

そこで重要になってくるのが「うんこ」です。なぜなら、大腸がんの初期症状は「うんこ」に現れるからです。

大腸がんになるとがんが大腸の中で大きくなっていくため、大腸の内腔、つまりうんこの通り道が狭くなっていきます。うんこがどんどん細くなり、通りにくくなってくると、水状の下痢便だけが通過し、少しあとに形のある便が通過するので、下痢と便秘を繰り返すことがあります。

これまでは定期的な排便があり、さらに食生活の変化など思い当たることもないのに継続的に下痢と便秘を繰り返すようになった場合、大腸がんを疑ってみてもいいでしょう。

また、がんはとても弱い細胞でできているため、うんこが通過する際に細胞が壊れて少し出血することがあります。

患部が肛門に近い場合、赤い血が認められるので出血に気づきやすいのですが(ここで「痔かな?」と勝手に判断してしまうのは厳禁です!)、直腸から離れた場所での出血は黒っぽく変化し、うんこに混じってしまうことが多いので、自分の目で見てもわからないことがほとんどです。

大腸がん検診で行われる便潜血検査、いわゆる検便は、この微量な血(便潜血)を検出することが目的です。

newsweekjp_20240425074200.jpg

Mark Anthony Ray - shutterstock

【40代になったら、少なくとも年一回は便潜血検査を】

自治体が行う対策型の大腸がん検診は一次検診で便潜血検査を行い、そこで便潜血があれば、精密検査を行うのが通常の流れです。

大腸がんの罹患率は40歳を超えた頃から少しずつ高くなっていくので、40代になったら、少なくとも年一回は便潜血検査を受けるのが大腸がん死を減らす第一歩です。

便潜血が陰性だった場合は、かなりの高確率で「大腸がんではない」というデータが出ています。検便は自宅で簡単にできる検査なので、それによってまずは「ない」ことを証明できるのです。ぜひ、面倒くさがらずに受けてほしいと思います。

実際に、便潜血検査を毎年受診した場合には33%、2年に1度の受診でも13〜21%、大腸がん死亡率が減少することがわかっています。

そして、便潜血反応が陽性だった場合には、必ず精密検査を受けてください。日本ではそもそも便潜血検査を毎年受けている人が少ないうえ、そこで異常が見つかっても「内視鏡検査は怖いから」とか「痔を患っているからそのせいだろう」などと、そのままにしてしまう人が多いのです。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トルコ軍用輸送機、ジョージアで墜落 乗員約20人の

ビジネス

欧州外為市場=ドル下落、米雇用悪化を警戒

ビジネス

スイス、週内にも米と関税引き下げで合意の可能性=関

ワールド

トルコ検察、イスタンブール市長に懲役2000年求刑
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 10
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中