【医師が勧める40代からの健康診断】がん死因の女性1位、男性2位「大腸がん」の検査と初期症状

2024年4月25日(木)16時49分
石井 洋介 (医師、日本うんこ学会会長)*PRESIDENT Onlineからの転載

アメリカでは大腸がんの死亡率は低下傾向にあり、日本では逆にこの20年で1.5倍に増えている。このことからも大腸がん検診による早期発見が、死亡リスクを下げる大きな要因であることがわかります。

「大腸がんが増えているのは食の欧米化や、マクドナルドが原因ではないか?」と犯人探しをする患者さんに出会うことがありますが、アメリカでの死亡率が下がってきていることなどから、どうもそれだけが原因ではなさそうですね。

日本でも、厚労省ががん検診受診率50%達成に向けたキャンペーンなどを行っていますが、思ったようには増加していないのが現実です。

大腸がん検診に限らず、がん検診全体を見ても海外と比べて日本の受診率は低くなっています。その理由のひとつは、医療へのアクセスしやすさの差だと思われます。

日本は国民皆保険制度があり、病院もきちんと整備されているので、ちょっとお腹が痛い程度でも病院へ行けばすぐに診てもらえます。

それに比べると海外は時間的にも金銭的にも受診のハードルが高いため、なるべく「病院にかかる」状況に至らないようにする意識が強いのです。

日本は医療へのアクセスがよいからこそ、本格的に具合が悪くなるまで病院に行かず、健康な人も予防にあまり興味が持てないという皮肉な状況にあるわけです。

newsweekjp_20240425074445.jpg

Healthy Definition - shutterstock

【「サイレントキラー」の初期症状はうんこに現れる】

大腸には痛覚がないため、早期の大腸がんにはほとんど自覚症状がありません。悪化して、腸が完全に閉じるくらいまで症状が進んでしまうとお腹が苦しくて痛みも出てきますが、初期状態では痛みが出たり、体重が急激に減ったりというわかりやすいサインがありません。

自覚症状が出た頃にはかなり進行していて、治療ができない状態になっている、というのが大腸がんが「サイレントキラー」と呼ばれる所以です。

キャリア
企業も働き手も幸せに...「期待以上のマッチング」を実現し続ける転職エージェントがしていること
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物、週間で4カ月半ぶり下落率に トランプ関税

ビジネス

クシュタール、米当局の買収承認得るための道筋をセブ

ビジネス

アングル:全米で広がる反マスク行動 「#テスラたた

ワールド

トルコ中銀が2.5%利下げ、インフレ鈍化で 先行き
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 5
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 6
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中