【医師が勧める40代からの健康診断】がん死因の女性1位、男性2位「大腸がん」の検査と初期症状

2024年4月25日(木)16時49分
石井 洋介 (医師、日本うんこ学会会長)*PRESIDENT Onlineからの転載

【技術の進歩で内視鏡検査もバリエーション豊かに】

大腸の内視鏡検査では、一般的に肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の画像を見ながら詳しく腸内の状態を調べていきます。実は大腸がんのほとんどが、最初はポリープだったものが徐々に大きくなって大腸がんに移行していくタイプ。

内視鏡検査中にポリープが見つかった場合は、ほとんどの場合そのまま切除できるので、早期発見という意味でも、内視鏡検査はぜひ受けてもらいたいのです。

内視鏡検査は下剤を飲まなければならなかったり、肛門からカメラを入れること自体への抵抗などがあったりして敬遠する人も多いようですが、最近では研究が進み、検査のバリエーションも増えています。

便潜血は胃がんの可能性もあるため胃カメラと同時に検査をすることもよくあります。最新の方法としては、まず麻酔をかけて胃カメラを入れ、同時に下剤を投与。

胃カメラが終わって目が覚めたときには下剤が効いてくるのでトイレに行き、腸がキレイになったら続けて大腸の内視鏡検査を行うという、胃と大腸の検査を1日で終わらせる医療機関も出てきています。

また、内視鏡を使わない検査として、カプセル型のカメラを飲み、体内を通過しながら画像撮影をしたカメラを、最後は排便から回収する方法や、大腸にガスを入れて膨張させCTで撮影するという手法もあります。

このような技術面の進歩もあるので、自分に合った検査をしてくれる医療機関を探し、定期的に検査を受けてみてください。

【検査や検診もたくさん受ければいいわけではない】

明確に予防できる因子はわかっていませんが、大腸がん発症のリスク因子はわかっています。喫煙、肥満、運動不足、不健康な食生活(野菜不足、加工肉の食べ過ぎ、ビールの飲み過ぎ)などが、大腸がん発症との関係が強いことが知られています。

大腸がんに限らず体に悪いとされるものが並んでいますね。つまり「大腸がんを予防するにはこれ!」という決め手はなく、健康的な生活を送るというつまらない答えになります。大腸がん死を防ぐには、早期発見が大切です。

早期発見が大事なら毎日便潜血検査をしたり、全国民に無償で検査できるキットのようなものを配布したりすればいいのでは? と考えられる方もいると思いますが、それは間違った考え方です。

毎日検査をすれば、確かに大腸がんを早期発見できるかもしれないのですが、それ以上に偽陽性といって、大腸がんではないのに陽性反応が出てしまうことが増え、無駄に精密検査を受けたり不安になったりする可能性が増えてしまいます。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長

ビジネス

ウニクレディト、BPM株買い付け28日に開始 Cア

ビジネス

インド製造業PMI、3月は8カ月ぶり高水準 新規受
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中