最新記事
マネー

プロが伝授、定年後の手取り収入を最大化する「手当・給付金」全手続き 申請を忘れると大損な退職金・年金の受け取り方

2023年8月18日(金)18時35分
頼藤太希(Money&You代表取締役) *PRESIDENT Onlineからの転載

仕事を探すときに役立つ手当・給付金

仕事を探すときに役立つ手当・給付金には、次のものがあります。

退職後、新たに仕事を探すときに役立つのが失業手当と高年齢求職者給付金です。64歳までは失業手当、65歳以降は高年齢求職者給付金がもらえます。

どちらも、雇用保険に加入している人が離職後に


①就業したいという意思がある
②いつでも就職できる能力・環境がある
③就職できていない
④積極的に求職活動をしている

という条件を満たし、「失業の状態」となった場合にもらえる給付金です。

もらえる金額は、退職前6カ月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、所定の給付率をかけた金額(基本手当日額)です。

ただ、失業手当と高年齢求職者給付金ではもらえる日数が違います。失業手当は、60歳から64歳の場合90日〜150日分もらえますが、65歳からの高年齢求職者給付金の場合は30日または50日です。これならば、失業手当をもらったほうがいいですよね。

65歳になるまでに退職すれば、失業手当がもらえます。しかし、特別支給の老齢厚生年金や、老齢年金の繰り上げ受給をする場合は、老齢年金が停止されてしまいます。したがって、

退職は65歳になる直前の「64歳11カ月」がもっともよいタイミングとなります。

これなら、退職後に失業手当が受け取れますし、年金の停止も受けずに済みます。65歳以降は、所定の日数分失業手当を受け取りながら年金も受け取れます。

ただ、会社によっては65歳より前に退職することで退職金や賞与が少なくなるデメリットも生じます。退職前に、会社にそのようなデメリットがないかを確認しましょう。

公共職業訓練で失業手当が延長される

再就職に向けてスキルを身に付けたい場合に役立つ公共職業訓練。建築、電気、Webデザインなどさまざまな科目が、自費で専門学校などに通うよりずっと安く学べます。

そのうえ、公共職業訓練を受講していると、失業手当がもらえる期間が訓練終了日まで延長されます。

60歳以上65歳未満の場合、失業手当の給付日数は90~240日(雇用保険の被保険者期間により異なる)ですが、公共職業訓練を受けている間は、訓練終了日まで失業手当の支給が延長されます。

たとえば、失業手当で日額6000円、240日間受け取れる人がいたとします。この人がもらえる失業手当は6000円×240日=144万円です。

しかし、失業手当の受給期間を100日残して6カ月(180日)の公共職業訓練を受講した場合、この公共職業訓練が終わるまで失業手当をもらうことができるので、もらえる失業手当は6000円×(240日-100日+180日)=192万円と、48万円も増えるのです。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 3
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 4
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中