最新記事
ヘルス

ダイエットする人に知ってほしい 減量を促し認知機能まで向上させるあの「脂肪」のすごい働きとは

2023年5月2日(火)19時10分
マックス・ルガヴェア(健康・科学専門ジャーナリスト)、ポール・グレワル(内科医) *PRESIDENT Onlineからの転載

EVOOをよく使う料理を食べている民族は、アルツハイマー病の発生率が低いことがわかっているが、オレオカンタールがその理由ではないかと考えられている。アルツハイマー病の患者の脳には、「アミロイド」斑と呼ばれる、粘り気のあるタンパク質が極度に沈着している。そして、脳がアミロイド斑を自力で除去する力を、オレオカンタールが促進しているかもしれないという。

この力は、アミロイド斑を除去する酵素が活発化することで生まれる。脳の衰えを防ぐ(そして認知機能を改善する)ための長期にわたる大規模な研究では、1週間で最大1リットル摂取した場合、このような効果があったという。また脳の保護作用だけでなく、炭水化物を過剰に摂ると脂肪をつくる「脂肪酸合成酵素」を、EVOOが阻害することもわかってきている。

オレオカンタールのほか、EVOOには一価不飽和脂肪酸も豊富に含まれていることを先にも述べた。一価不飽和脂肪酸は、血管と肝臓の健康を維持してくれる健康的な脂質だ。また、減量を促す作用もあるという。EVOOにはビタミンEも含まれ、大さじ1杯で1日に必要なビタミンEの10パーセントが摂れるという。ビタミンEは抗酸化物質で、脳も含めて体内の脂肪性の組織を老化による消耗から守ってくれる作用がある。

良いオリーブオイルの見極め方

books20230502.pngニコラス・コールマンは、ウルトラ・プレミアム・エクストラバージンオリーブオイルの収穫を専門とする、世界で数少ない「オレオロジスト」のひとりだ。コールマンは、適切なオリーブオイルを探すための助言を、いくつか与えてくれた。

まず、オイルの色は品質とは無関係だという。オイルを見極める一番いい方法は、それを味わうことだそうだ。植物の香りがして、油っぽさをまったく感じないものが、良いエクストラバージンオリーブオイルだという。

バージンオイルのピリっとした辛みは、オレオカンタールの成分に由来するため、それがオイルに含まれるオレオカンタールの量を知る目安になる。濃厚なオイルは非常に辛味が強いので、あまりの辛さにむせてしまうかもしれない。とはいえ、それが良質なオイルであることの証明なのだ! 今度、あなたが「3回咳き込む」オイルを口にしたら、脳はきっと自分の守護者を見つけてくれたことに感謝するだろう。

これからあなたはエクストラバージンオリーブオイルをメインの油にすべきだ。サラダや卵に、ソースとして気前よくたっぷりと使おう。オイルは必ず光を通さないボトルで(黒っぽいガラスや缶が適している)、涼しく乾燥した場所に保管しよう。

マックス・ルガヴェア(Max Lugavere)

健康・科学専門ジャーナリスト
映画製作者。「メドスケープ」「ヴァイス」「ファスト・カンパニー」「デイリー・ビースト」などのメディアに寄稿し、「NBCナイトリーニュース」や「ドクター・オズ・ショー」「ザ・ドクターズ」などのテレビ番組に出演、「ウォールストリートジャーナル」紙で紹介されるなど幅広く活動している。講演者としても人気を博し、ニューヨーク科学アカデミーや、ワイルコーネル医療センターなど権威ある学術機関に講師として招かれた。また、スウェーデンのストックホルムで開催されたバイオハッカーサミットでも講演を行った。2005年から2011年まで、アル・ゴアの「カレントTV」のジャーナリストを務める。主にニューヨークとロサンゼルスを拠点に活動を続けている。

ポール・グレワル(Paul Grewal)

内科医
食生活とライフスタイルという視点から減量や代謝機能、不老長寿のための医療を実践し、講演も行っている内科医。彼自身45キロ近い減量に成功し、その体重を維持している。大きな誇りと情熱を持ちながら、患者が健康に生きるために楽しく続けられる、万人に適用できる療法を探る。ジョンズ・ホプキンズ大学で細胞・分子神経科学の学士号を取得。ラトガース大学メディカル・スクールで医学を学び、ノース・ショア・ロング・アイランド・ジューイッシュ・ホスピタルで研修課程を修了。MyMDメディカルグループを創設し、ニューヨークシティで開業、金融会社や健康管理会社のメディカルアドバイザーを務めている。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P小幅安、FOMC結果待ち

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、雇用市場に依然底堅さ

ビジネス

米NEC委員長「利下げの余地十分」、FRBの政治介

ワールド

ウクライナ、和平計画の「修正版」を近く米国に提示へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中