iPhoneが高すぎて買えない日本、30年でなぜこれほど貧しくなったのか?
賃金が上がらない日本
うめ それだけ日本は低成長の時期が続いたのよ。企業がなにかを生み出す力を「付加価値」というの。付加価値は一般的には「モノやサービスを販売した額」から「仕入れた額」を引いた額を指すわ。
彦 ピーマンを100円で仕入れて150円で売ったら50円が付加価値ってことか。「粗利」のことだね。
うめ そう。大きな会社も八百屋もその付加価値から給料を出すし、税金も払うの。付加価値が大きくならなければ給料も上げられないわけ。彦は、付加価値を大きくするにはどうしてる?
彦 それは、モノをたくさん売るしかないよね。モノの値段を上げたり、あとは仕入れ値を下げたりっていうのもありかな。あっ、でも値段は簡単に上げられないし、仕入れ先に値段を下げてともいいにくいよね......。
うめ さすが八百屋の店長だけあるわねぇ。そのとおりね。仕入れ値を下げると品質の問題も出てくるしね。同じモノを売っているのに、いきなり値上げするようなこともそう簡単にはできない。だから、現実的には、たくさん売って売り上げを上げるしかないの。
ところが恐ろしいことに、日本の会社は1990年代以降、売り上げを減らしているのよ。一方でアメリカは過去40年で売り上げが7倍になっているの。それはお給料にはっきりと反映されているわ。30年前に比べてアメリカなど先進国ではお給料が1.4倍から1.5倍になっているの。でも、日本はほぼそのまま。2015年には韓国にも抜かれたわ。
彦 うわあ、そうなるとiPhoneが10万円でも、他の国の人たちからするとそこまで高くないのかもな。
うめ そのとおりよ。アメリカの平均賃金(お給料)は日本の約2倍[※4]。iPhoneを1台買う感覚も全然違うわね。そして深刻なのは、他の国で賃金が上がれば、当然それだけ物価も上がるということなのよ。
日本は賃金が上がらないのに、よその国から多くのモノを輸入している。iPhoneみたいにモノの価格が値上がれば、他に買えるモノが少なくなって、生活は苦しくなるわね。