最新記事

教育

iPhoneが高すぎて買えない日本、30年でなぜこれほど貧しくなったのか?

2022年12月10日(土)09時01分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


賃金が上がらない日本

うめ それだけ日本は低成長の時期が続いたのよ。企業がなにかを生み出す力を「付加価値」というの。付加価値は一般的には「モノやサービスを販売した額」から「仕入れた額」を引いた額を指すわ。

 ピーマンを100円で仕入れて150円で売ったら50円が付加価値ってことか。「粗利」のことだね。

うめ そう。大きな会社も八百屋もその付加価値から給料を出すし、税金も払うの。付加価値が大きくならなければ給料も上げられないわけ。彦は、付加価値を大きくするにはどうしてる?

 それは、モノをたくさん売るしかないよね。モノの値段を上げたり、あとは仕入れ値を下げたりっていうのもありかな。あっ、でも値段は簡単に上げられないし、仕入れ先に値段を下げてともいいにくいよね......。

うめ さすが八百屋の店長だけあるわねぇ。そのとおりね。仕入れ値を下げると品質の問題も出てくるしね。同じモノを売っているのに、いきなり値上げするようなこともそう簡単にはできない。だから、現実的には、たくさん売って売り上げを上げるしかないの。

ところが恐ろしいことに、日本の会社は1990年代以降、売り上げを減らしているのよ。一方でアメリカは過去40年で売り上げが7倍になっているの。それはお給料にはっきりと反映されているわ。30年前に比べてアメリカなど先進国ではお給料が1.4倍から1.5倍になっているの。でも、日本はほぼそのまま。2015年には韓国にも抜かれたわ。

 うわあ、そうなるとiPhoneが10万円でも、他の国の人たちからするとそこまで高くないのかもな。

うめ そのとおりよ。アメリカの平均賃金(お給料)は日本の約2倍[※4]。iPhoneを1台買う感覚も全然違うわね。そして深刻なのは、他の国で賃金が上がれば、当然それだけ物価も上がるということなのよ。

日本は賃金が上がらないのに、よその国から多くのモノを輸入している。iPhoneみたいにモノの価格が値上がれば、他に買えるモノが少なくなって、生活は苦しくなるわね。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米9月雇用11.9万人増、予想上回る 失業率は4.

ビジネス

米消費者、42%が感謝祭にクレカ利用予定 前年から

ビジネス

ドイツ経済、第4四半期は緩やかに成長 サービス主導

ワールド

資産差し押さえならベルギーとユーロクリアに法的措置
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中