伊サルデーニャ島に100歳人が多い理由 島の羊飼いが70年続けている習慣、食生活とは?
(写真はイメージです) branex-iStock
<サルデーニャ島に暮らす羊飼いのトニーノは「ここで過ごす毎日に、とっても満足している」と語る。世界の長寿地域「ブルーゾーン」に見る健康と長寿のヒント>
医学の進歩発展、人々の健康への意識の高まりなどにより、今後100歳人は珍しくない世の中になると言われている。とはいえ、細胞の寿命は50年とも言われ、この「老化」とどう向き合っていくのかが、健康寿命を延ばすカギとも言えそうだ。
イタリアの疫学者で医師のジャンニ・ペスがベルギーの人口統計学者ミシェル・プーランと共に長寿研究を行い、長寿の村々を強調する青い円を地図上に同心円状に描き、この円の内側を「ブルーゾーン」と呼んだ。
その後『ナショナルジオグラフィック』誌のライターであり冒険家のダン・ビュイトナーは、統計的に世界で最も長寿の地域にこの地理的な用語を拡大し、イタリア・サルデーニャ島、日本・沖縄、アメリカ・ロマリンダ、中米コスタリカ・ニコジャ半島、ギリシャ・イカリア島の5地域をブルーゾーンと発表。
100歳人(センテナリアン)の多い地域にはどんな共通点があるのか。
日米で話題となった『ブルーゾーン』の新版『The Blue Zones 2nd Edition(ブルーゾーン セカンドエディション)──世界の100歳人(センテナリアン)に学ぶ健康と長寿9つのルール』(祥伝社)から、サルデーニャ島の事例について本書から一部を抜粋する。
私たちが会った百歳人は、おおむねきちんと会話も受け答えもできる。だが、たいていは家にこもりっきりで、娘や孫娘の世話になっている。本人から聞いた話は記憶があいまいなので、内容はそれほど信頼できない。
本当にサルデーニャのライフスタイルを知りたければ、もう少し若くて実際に働いている世代の、伝統的な暮らしをしている者に密着しなければ分からない。インタビューで語られた内容より、実際に自分の目で見たほうが、このブルーゾーンの特異な長寿の秘密がはっきりするに違いない。サルデーニャ島バルバギア地方の伝統的な暮らしをまる一日、観察すれば、日常の細かいニュアンスも掴めるだろう。
カメラマンのデイヴィッド・マクレインは、すでにそのような取材対象を見つけ出していた。私がブルーゾーンの東地区でインタビューを続けている間に、デイヴィッドは西地区で雑誌用の写真取材を続けていた(「ナショナル・ジオグラフィック」の取材では、記者とカメラマンが一緒に動くことはめったにない)。
ある日の午後、デイヴィッドが電話をかけてきて、彼が出会った七五歳の羊飼いの話をしてくれた。三〇〇〇年もの歴史があるシラヌスの村で、彼はいまだに羊の世話をし、自分で飲むワインを自ら作り、伝統的なサルデーニャふうの家に住んでいるそうだ。名前はトニーノ・トーラだが、ぼくは「ジャイアント」と呼んでいるよ、と言う。