最新記事

睡眠

CEOからの相談で多いのは「悪夢」──悪夢治療がよいリーダーシップを生む

How to Have Better Dreams

2022年6月24日(金)12時55分
ロビン・エーブラハムズ(ハーバード・ビジネススクール研究員)、ボリス・グロイスバーグ(同スクール教授)

悪夢治療の定番はバリー・クラコウとアントニオ・ザドラが開発したイメージ・リハーサル療法(IRT)で、長期改善率は70%とされている。IRTは専門のセラピストを必要としない、効果的な自助のテクニックでもある。以下のエクササイズは20~30分もあればできるので、自宅でやってみてほしい。

❶悪夢や繰り返し見る悪い夢を書き出す 「台本を書き換えたい」夢を書き出そう。複数の悪夢がある場合は、手始めにあまり強烈ではないものを1つ選ぶといい。

❷悪夢を書き換えるタイミングを決める 夢の中で悪い感情が芽生えた後で、かつ悪い出来事が起こる前のタイミングを選ぶのがコツ。1日に数回、書き出した夢を頭の中でリハーサルする。最初の恐怖や怒りと、「新しい台本」に結び付いた感情のイメージを思い描き、できるだけ多くの感情を意識する。

❸別のエンディングを選択する 例えば勝利、幸せ、中立など。大切なのは、それが自分に合っていて、記憶に残る「本物感」があること。家宅侵入の悪夢を消したいなら、セキュリティーシステムが作動して侵入者が逃げ出すイメージがいいかもしれない。

❹書き換えた夢をリハーサルする 1日に数回、ネガティブな感情から、新しいエンディングがもたらす感情までできるだけ多くの感情に意識を向ける。夢を見たときに何を感じるか、具体的に考えよう。安堵? 満足? 歓喜?

悪夢をより穏やかな夢に書き換えられたら、必要に応じて同じプロセスを繰り返す。多くの場合、最初の悪夢を打ち消せば、他の悪夢も見る回数が減ったり止まったりする。起きていても眠っていても脳は習慣を学習するので、悪夢の習慣を学習したのであれば、解除することもできる。

220628p70_YME_02.jpg

COLIN ANDERSON/GETTY IMAGES

よりよい夢は、よりよい睡眠を意味する。そして、よい夢を見る生活は、認知と感情の両面で人生の助けになることが期待できる。

人々がよく見る学習体験の夢は、学習した情報の記憶強化と相関関係がある。夢が問題解決につながったり、創造性や仕事のイメージを提供してくれるとの報告もある。

夢を改良するには、まず夢を記憶するという意識を持つことだ。眠る準備をしながら、この点について考えておこう。半覚醒状態を利用して、心地よいイメージや意味のあるイメージに集中する。朝になったら、覚えている限りの夢の内容を書き留める。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中