アーティストで2児の母、草野絵美が『0歳からの教育』に感じた大きな違い
親が無理をせず、子どもと一緒に楽しめることをする
草野さん(ツイッターはこちら)と言えば、2021年夏、小学3年生の長男がアーティスト・Zombie Zoo Keeperとして描いた21点の作品が、NFT(※)で海外のコレクターに買われ、160万円の値がついたことでも話題となった。さらに東映アニメーションによって「Zombie Zoo」アートを原案としたアニメ化も決まっている。
「親子で共通して楽しめることを楽しむ」――そんな彼女の子育て方針が、思いもよらない形で世間を賑わすことになった。
(※NFT〔非代替性トークン〕とは、画像・動画・音声など、ブロックチェーンの技術を用いて作られる偽造不可能なデータのこと。唯一の所有権を表すことができる)
「私自身、コロナ禍でプレゼンテーションの機会を失った作品があり、2021年4月に初めてそれをNFTとして出品したという経緯がありました。家族で食事中にNFTについて話す機会もあり、それを覚えていた息子が『夏休みの宿題としてNFT作品を作りたい』と言い出したのがきっかけでした。私が先にそれを体験していて、なおかつ興味のあることだったので、どういう作品がいいかを話し合いながら、無理せずサポートすることができました」
親が一緒に楽しめることをする、その体験を積み重ねる――。草野さんはこのことを意識的に行っている。
「子どもの遊びに『付き合う』のではなく、親も一緒に楽しめることをしています。親が興味のあることと合致すれば、無理せず一緒に楽しめると思います。お金をかけず、親が一緒に楽しめることをする。そういう体験の積み重ねが、無理なく子どもの自尊心や創造性を育むように思うのです」
「無理をしない」ことも、草野さんの子育ての重要な指針だ。
児童虐待防止の啓発活動「こどものいのちはこどものもの」にも携わっている草野さんにとって、虐待は他人ごとではない。居眠り運転のようなもので、慣れない育児で疲労困憊になったとき、ふと魔が差してしまう。これは誰にでも起こり得ること。だからこそ、子育てで大事なのは、親の心身の健康だと考えている。
「私自身、親になる前は虐待なんてありえないと思っていました。ですが親になり、それは見当違いだったと気付いたのです。虐待について知っていくうちに、虐待の実情は親が精神的に追い詰められていることに原因があると分かりました。逆に言えば、親の精神的な余裕こそが、子どもの健康を守るのです。子どもが生まれても自分を後回しにせず、人生を謳歌していってほしい。そう願っています」