最新記事

0歳からの教育

アーティストで2児の母、草野絵美が『0歳からの教育』に感じた大きな違い

2022年2月10日(木)16時15分
岡田光津子(ライター)

親が無理をせず、子どもと一緒に楽しめることをする

草野さん(ツイッターはこちら)と言えば、2021年夏、小学3年生の長男がアーティスト・Zombie Zoo Keeperとして描いた21点の作品が、NFT(※)で海外のコレクターに買われ、160万円の値がついたことでも話題となった。さらに東映アニメーションによって「Zombie Zoo」アートを原案としたアニメ化も決まっている。

「親子で共通して楽しめることを楽しむ」――そんな彼女の子育て方針が、思いもよらない形で世間を賑わすことになった。

(※NFT〔非代替性トークン〕とは、画像・動画・音声など、ブロックチェーンの技術を用いて作られる偽造不可能なデータのこと。唯一の所有権を表すことができる)

0saimook-invu-20220210-2.jpg

草野さんとZombie Zoo Keeperこと長男、次男(提供:草野絵美)

「私自身、コロナ禍でプレゼンテーションの機会を失った作品があり、2021年4月に初めてそれをNFTとして出品したという経緯がありました。家族で食事中にNFTについて話す機会もあり、それを覚えていた息子が『夏休みの宿題としてNFT作品を作りたい』と言い出したのがきっかけでした。私が先にそれを体験していて、なおかつ興味のあることだったので、どういう作品がいいかを話し合いながら、無理せずサポートすることができました」

親が一緒に楽しめることをする、その体験を積み重ねる――。草野さんはこのことを意識的に行っている。

「子どもの遊びに『付き合う』のではなく、親も一緒に楽しめることをしています。親が興味のあることと合致すれば、無理せず一緒に楽しめると思います。お金をかけず、親が一緒に楽しめることをする。そういう体験の積み重ねが、無理なく子どもの自尊心や創造性を育むように思うのです」

「無理をしない」ことも、草野さんの子育ての重要な指針だ。

児童虐待防止の啓発活動「こどものいのちはこどものもの」にも携わっている草野さんにとって、虐待は他人ごとではない。居眠り運転のようなもので、慣れない育児で疲労困憊になったとき、ふと魔が差してしまう。これは誰にでも起こり得ること。だからこそ、子育てで大事なのは、親の心身の健康だと考えている。

「私自身、親になる前は虐待なんてありえないと思っていました。ですが親になり、それは見当違いだったと気付いたのです。虐待について知っていくうちに、虐待の実情は親が精神的に追い詰められていることに原因があると分かりました。逆に言えば、親の精神的な余裕こそが、子どもの健康を守るのです。子どもが生まれても自分を後回しにせず、人生を謳歌していってほしい。そう願っています」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中