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あなたがダイエットに失敗するのは内臓脂肪を燃やす栄養素を制限しているから

2021年6月20日(日)20時00分
水野雅登(医師) *PRESIDENT Onlineからの転載

マグネシウムは、ほかの多くの栄養素と違って、食事から十分量摂取することのできる、数少ない栄養素です。豆腐を作る際に使われる「にがり」や、天然塩などに豊富に含まれています。

また、マグネシウムは皮膚からも吸収することができるため、入浴の際にミネラルを多量に含む塩をお湯に溶かし入れることで補充ができます。お風呂に入れるマグネシウムとしては、「硫酸マグネシウム」が主成分の「エプソムソルト」が有名です。「ソルト」という名が付いてはいますが、硫酸マグネシウムの純粋な結晶で、塩分は含まれていません。

一方、亜鉛は貝類・肉類・豆類などに含まれてはいますが、いずれも微量なため、こちらは食事から十分な量をとることが難しく、サプリメントでとる必要があります。

ただし、亜鉛不足の人のほとんどは、タンパク質不足も同時に抱えています。タンパク質不足が重い場合には、亜鉛を胃が受け付けないことがあります。胃壁も消化液も、タンパク質でできているためです。タンパク質不足の人のなかには、亜鉛が負担になってしまい、胃もたれや吐き気を起こす人もいます。

このため、ビタミン類と同様に、ミネラルをとる前にタンパク質不足の解消が必要になります。

脂肪燃焼の不具合⑤:カルニチン不足

栄養に関して意識が高い方は、「カルニチン」という名前を聞いたことがあるかと思います。

カルニチンは、アミノ酸が3つつながった比較的シンプルな構造をしており、体内でとても重要な役割を持っています。それは「長鎖脂肪酸を燃やすことをサポートする」という役割です。

私たちの体脂肪は、脂肪細胞の内部の大部分を占める「脂肪滴」という形態で蓄えられています。その成分は中性脂肪がほとんどで、さらにその多くは炭素数が16~18という「長鎖脂肪酸」が占めています。その長鎖脂肪酸を燃やすときに、ビタミンCとともに、カルニチンが必須なのです。

「脂肪の燃焼機関」の実態が、細胞の中に数多くあるミトコンドリアであることは先に説明したとおりです。

脂肪細胞に蓄えられた長鎖脂肪酸は、脂肪細胞の中にある脂肪を分解する酵素「リパーゼ」によって、「脂肪酸」と「グリセリン」というものに分解されて、血液中に出されていきます。そして血流にのって、各細胞の中へとり込まれていきます。

カギを握るミトコンドリア

ただし、細胞内に入っただけでは、まだ燃えることはできません。その細胞内の中にある燃焼機関である、ミトコンドリアの中まで入り込まないと、燃やすことができないからです。

books20210620.png長鎖脂肪酸がミトコンドリアの中へ入り込むためには、ビタミンCとカルニチンの両方が必要となるのです。どちらか一方でも不足すると、長鎖脂肪酸は「脂肪の燃焼機関」であるミトコンドリアの中に入っていくことができないので、燃やしようがない、ということです。

ちなみに、「長鎖」以外の脂肪酸である、「短鎖」と「中鎖」の脂肪酸の場合は、ビタミンCもカルニチンも不要になります。短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は、ビタミンCやカルニチンがなくてもミトコンドリアの中に入っていけるからです。

以上、見てきたように、内臓脂肪が燃える体を取り戻すために、まずは5つの「栄養失調」を改善することから取り組んでみてください。「脂肪を燃やすサイクル」はここから始まります。

水野雅登(みずの・まさと)

医師
日本糖質制限医療推進協会提携医。両親ともに糖尿病家系だった自らの体の劇的な変化をきっかけに、糖質制限を中心とした治療を開始。97単位に及ぶインスリンの自己注射を不要とするなど、2型糖尿病患者の脱インスリン率100%という実績を打ち出す。糖質制限やインスリンを使わない治療法などの情報をブログ、Facebook、Twitterや講演会などで精力的に発信している。首都圏を中心に健康診断での診察も行っている。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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