最新記事

若者

若者の現在と10年後の未来:消費行動編(前編)──所有から利用へ

2020年5月28日(木)11時20分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

なお、若者では家事代行やシッターサービスの利用意向も高いが、これは若い世代ほど夫婦共働きがスタンダードになる中で、家事の外部化に対する抵抗が薄れている可能性がある。また、何事においても大量の情報を収集し、比較検討を行うデジタルネイティブならではの合理的な判断、すなわち、同じ時間で自分で家事をするよりも、自分にとってより有意義なことに時間を費やすという判断によるものとも考えられる。

ところで、モノを買うよりも、旅行やコンサートなどの体験消費を重視する『モノよりコト(サービス)』志向は、若者というよりも女性で強く見られる傾向と言える。

現在の情報収集行動──若者は「SNS」志向が高いが、現在のところマスメディアの影響が大きい

同様に、情報収集等の行動について15項目をあげ、あてはまる割合を見ると、全体で最も高いのは「情報は自分で検索して手に入れたい」(67.0%)であり、次いで「SNSは自分で情報を発信するよりも、見て楽しみたい」(56.6%)、「何かを買う時は、使っている人の評判が気になる」(51.7%)、「知りたいことによって、情報源を使い分けている」(50.7%)、「結局、決まった情報源ばかり見てしまう」(46.5%)と続く(図表4)。

Nissei200521_4.jpg

若者でも全体と同様の順位だが、全体と比べて、「友達や好きな有名人、趣味のつながりなど、自分の選んだ人とつながっているSNSの情報が一番信用できると思う」(+9.1%pt)や「マスメディアよりも、個人が発信するSNSやブログなどの情報の方が信頼できる」(+9.0%pt)、「SNSでは、自分の選んだつながりの中だけで情報を積極的に発信したい」(+8.4%pt)、「SNSでは、不特定多数に向けて情報を積極的に発信したい」(+6.8%pt)、「有益な情報にはお金を払っても良い」(+5.8%pt)で全体を5%pt以上上回る。

このほか、若者のうち女性では、「何かを買う時は、使っている人の評判が気になる」(+14.9%pt)や「外出時にスマートフォンを自宅に忘れると不安で落ち着かなくなる」(+12.0%pt)、「SNSは自分で情報を発信するよりも、見て楽しみたい」(+10.5%pt)、「商品やサービスについての情報が多すぎるため、詳しい人に選んで欲しい」(+9.6%pt)、「結局、決まった情報源ばかり見てしまう」(+7.9%pt)で全体を5%pt以上上回るが、いずれも女性全体でも見られる傾向である。

つまり、若者では、消費者共通の土台として『情報は自分で検索』『SNSは発信より閲覧』『商品の評判を気にする』『情報源の使い分け』といった志向を持ちながらも、全体と比べると、『SNSのつながりを流れる情報を重視』するという『SNS』志向が高い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中