最新記事
ウイスキー

ウイスキーは130年間「浮き沈み」してきた...名門蒸留所が「ロングモーン 18年」「ロングモーン 22年」で新たな時代へ

2024年2月9日(金)13時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ウイスキー ロングモーン

スコットランドの名門ロングモーン蒸留所からリリースされた「ロングモーン 18年」「ロングモーン 22年」(2月5日発売)

<いま世界的なウイスキーブームとなっているが、これは初めてのことではない。130年前のブームを知るスコッチウイスキー名門ブランドの、知られざる歴史と新たな挑戦>

近年、ウイスキーの人気が高まっている。1980年代から低迷期に入っていたウイスキーの生産量は、2000年以降は増加していたが、2020年代のコロナ禍により、家でハイボールを飲む人が増加。それも一因となり、ウイスキーブームに火がついた。

特にお隣韓国では、現在ジャパニーズウイスキー人気がすさまじい。2022年には日本の一般的なウイスキーが、普段の価格の約2倍である4000円に跳ね上がる事態が発生。昨年にはウイスキーの輸入量が3万トンを超え、過去最高を記録した。ウイスキーブームは日本だけでなく、グローバルな現象だ。

人気を背景に、日本のウイスキー輸出額は2022年時点で前年比21.5%増の560億円で過去最高となった。当然、本場スコットランドも同様で、2022年のスコッチウイスキーの総輸出額は62億ポンドと、こちらも過去最高を記録している。

こうした勢いを背景に、スコットランドのスペイサイド地方に拠点を置く名門ウイスキーブランドの「ロングモーン」がこのたび、「ロングモーン 18年」と「ロングモーン 23年」を日本でリリース。130年にわたり高品質なウイスキーを生み出し続けてきた名門蒸留所が、新たな時代に挑もうとしている。

産業革命と共に育ったロングモーンウイスキー

ウイスキーがスコットランドで作られ始めた時期は不明とされている。しかし17~19世紀には、イングランドにより非常に重い酒税がかけられたため、蒸留酒の生産者たちは北部のハイランド地方を中心とした山中に逃れ、ひっそりとウイスキーを製造していた。

スコットランド北部にはマレー帯水層があり、ここからくみ上げられた地下水と近隣の良質な大麦が、スコットランドのウイスキーを極上のものに仕立て上げた。スペイサイドもハイランドに隣接する地域であり、こうした歴史的背景がスコッチウイスキーを世界的ブランドに押し上げる土壌となったのである。

ロングモーンの創業者、ジョン・ダフ

ロングモーンの創業者、ジョン・ダフ

酒にかけられた重税の時代は、1823年には終わりを迎える。そして1890年代、ウイスキーは空前の大ブームとなった。この19世紀末ウイスキーブームの最中、1894年に起業家のジョン・ダフによってスペイサイドのエルギンに設立されたのが「ロングモーン蒸留所」だ。

時代は産業革命期。ジョン・ダフは近隣で栽培される良質な大麦や水の調達、また製品の輸出にも利用するため、蒸留所敷地内に鉄道を引き込むなど、画期的な輸送システムを構築した。そのアイコニックな蒸気機関車は、現在のブランドロゴにも採用されており、ロングモーンの原点となっている。

19世紀のロングモーン蒸留所

19世紀のスコットランドでは、馬に代わり原料や製品の輸送に蒸気機関車が使われるようになった。ロングモーン蒸留所には今でも線路と駅の跡が残る

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

メキシコ大統領、強制送還移民受け入れの用意 トラン

ビジネス

Temuの中国PDD、第3四半期は売上高と利益が予

ビジネス

10月全国消費者物価(除く生鮮)は前年比+2.3%

ワールド

ノルウェーGDP、第3四半期は前期比+0.5% 予
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中