最新記事

インタビュー

「クイーンは4人の若者が共に抱いた夢だった」...メイとテイラーが語る50年

Queen’s Golden Jubilee

2021年11月27日(土)18時09分
デービッド・チウ

211130P50_QEN_02.jpg

アダム・ランバート(左)をボーカルに迎えたコンサート(2019年) BOJAN HOHJNEC

フレディは歌が下手だった?

メイとテイラーは大学時代に出会い、スマイルというバンドで活動していた。そこにマーキュリーが加わり、70年にクイーンが誕生した。

「ロジャーも私も初対面でフレディが気に入った」と、メイは振り返る。「やけに威勢がよく、自信満々な男でね。ショーマンシップは抜群だが、歌唱力は疑問だった。フレディは自在に声を操ることでロックの神になったが、当時はまだ声がコントロールできていなかったんだ。だが彼は乗り気だったから、一緒にやってみることにした」

テイラーも証言する。「フレディにあれほどの感性と曲作りの才能があるとは知る由もなかった。でも彼は一緒にいて楽しい奴で、初期のバンドを引っ張ってくれた」

71年にディーコンが参加し、4人組としてレコード会社EMIと契約。74年にロックバンド「モット・ザ・フープル」の前座を務め、「キラー・クイーン」がヒットすると、一気に知名度が上がった。

「ファンが増えたことを実感した」と、テイラーは言う。「ライブでは粋がってみせたし、パフォーマンスの才能はあった。だが自分たちには実力があり、本当にいい音楽をつくることができると思えたのは2、3枚目のアルバムを制作していた頃だ」

75年には4枚目の『オペラ座の夜』とここからシングルカットされた「ボヘミアン・ラプソディ」が売れに売れて、スーパースターへと脱皮。ロックとオペラを融合した全長約6分の同曲は画期的なミュージックビデオも注目され、全英チャートで9週間トップに君臨した。

「フレディが書いた『ボヘミアン・ラプソディ』を完成させようと、4人とも全身全霊で挑んだ」と、メイは語る。

「フレディとロジャーとジョンがスタジオでバックトラックを録音する様子をコントロールルームで見ながら、よし、俺もあそこに入って最高のプレーを聞かせてやると意気込んだのを覚えている」

「オペラ的な部分がどうなるのか(最初は)よく分からなかった」とテイラー。「でも『ママ、人を殺してきたよ』というフレーズを歌ってもらったとたん『これはいい曲だ』と思った」

この後、クイーンは続けざまにアルバム(『華麗なるレース』や『世界に捧ぐ』『ジャズ』)やシングル(「愛にすべてを」や「ドント・ストップ・ミー・ナウ」など)をヒットさせた。イギリスやアメリカ、日本でのコンサートツアーも行った。

目立つ衣装と強気のパフォーマンスで、マーキュリーはセレブの仲間入りをした。奔放な生活を送ったが、性的指向についてはメディアが臆測するに任せた。当時、マーキュリーはこう語っていた。「スターになるつもりはない。伝説になるんだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カンボジアとの停戦維持、合意違反でタイは兵士解放を

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ

ビジネス

米シティ、ロシア部門売却を取締役会が承認 損失12
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中