「恐竜博2019」は準備に3年! ググっても出てこない舞台裏をお見せします
例えば海外の場合、化石立体を成型する人、イラストを描く人など、プロフェッショナルを養成し、継承するシステムができており、実際の展示もプロによる分業です。しかし日本ではそのようなシステムが構築できておらず、今後改善しなければいけないことの1つです」
むかわ竜で有名になった北海道のむかわ町や、丹波竜で有名な兵庫県丹波篠山市など「恐竜で町おこし」を後押しする動きも見受けられる。しかし行政の仕事は一過性で終わってしまう可能性がある。発掘現場でフルタイムで頑張るボランティアのような存在が、恒常的に恐竜の現場に携われるような環境作りが待望されている。
「恐竜に関わる仕事をしたいという学生に進路を聞くと、研究者になって博士号を取り、学芸員や研究員になるという答えは出てきても、それ以外の選択肢は出てきません。それって違うと思うのです。自分の『恐竜愛』を出せる場所がいろいろなところにあることを若者たちに知ってもらえるといいですね」
それにしても、もはや地上に存在しない恐竜という存在は、なぜこのように人々を惹きつけるのだろうか。
「魅力を感じるところは人によって違うようです。大きいところ、強いところ、かわいいところ、そして太古の世界にロマンを感じるところでしょうか。ティラノサウルスもトリケラトプスも現在残る化石は全体重に占める重さで言うと10%くらい。その分からない部分の体つきを謎解きのように推測していく、私としてはそういう部分が面白い。
恐竜が登場するCGに魅了され、あんな世界を作ってみたいと思う人もいます。学者になるだけが恐竜に携わる道ではありません。どんなところに自分の気持ちがフィットするか、新たな自分の近未来を発見することに繋がればと思っています」
全国で本書が最初に並んだのは国立科学博物館のミュージアムショップだ。これを手に取ったスタッフたちは自分たちのことが書いてあると知って喜んだ。
「清掃のスタッフが『お掃除のことも書いてくれてありがとう。私たちも恐竜展の一員だと思ってくれて嬉しい』と言ってくださいました。展覧会を作っている側だって見た人の『いいね!』がもらいたい。面白い時間と空間を作り、その気持ちを皆で共有できたらいいなと思っています。博物館を訪れる皆さんも、恐竜展を作る仲間の1人。本書を読んでいただければ『恐竜博2019』は100倍面白くなりますよ」
『恐竜の魅せ方――展示の舞台裏を知ればもっと楽しい』
真鍋 真 著
CCCメディアハウス
「恐竜博2019」
国立科学博物館(東京・上野)にて、10月14日まで開催中
開館時間:午前9時~午後5時(金曜・土曜は午後8時まで)
※8月11日(日・祝)~15日(木)、18日(日)は午後6時まで
※入場は各閉館時刻の30分前まで
休館日:9月2日(月)、9日(月)、17日(火)、24日(火)、30日(月)
入場料:一般・大学生1600円、小・中・高校生600円
https://dino2019.jp/
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