こんなところからも、吃音者には「よい聞き手」が必要であることがわかる。私たちも、そんな立場を目指す必要がありそうだ。しかし、だとすれば、どういう聞き手でいるべきなのだろうか? そのことについて、著者は次のように記している。


・話し終える前に助け舟を出そうとする人ではなく、話し終えた後に助けてくれる人

 です。具体的には、話している最中は邪魔することなく内容を聞いてくれ、話し終えたときに内容にきちんと反応してくれる人です。それほど難しいことではないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではない人が多いのが現実です。特に、吃音のある人と接するとき、この「聞く力の差」は顕著に出てくるように思います。(200ページより)

吃音がそれを見えにくくしてはいるものの、内面には話したいという発話意欲を抱いている人は少なくないのだという。ならばなおさら、私たちは「よい聞き手」を目指すべきなのだろう。

もちろん、それだけで全てが解決するわけではない。が、少なくとも、それがコミュニケーションの糸口になることは間違いないのだから。


吃音の世界

 菊池良和 著

 光文社新書
[筆者]

印南敦史

1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。新刊『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。
ニューズウィーク日本版 戦争インフレ
2026年4月28号(4月21日発売)は「戦争インフレ」特集。

ホルムズ海峡封鎖でガソリン・日用品が高騰。世界経済への悪影響と「出口」を読み解く

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