イラン「開国」で訪れるべきはここ!
核合意成立で欧米からの旅行者急増は必至。遺跡からリゾート地まで、見逃されていた名所は
色の芸術 シラーズのピンクモスク内部は万華鏡のよう Franco Pecchio-WIKIMEDIA COMMONS
核開発をめぐる合意が成立し、ついに欧米にも門戸を開こうとしているイラン。かつての「悪の枢軸」への旅行機運はいやが上にも盛り上がるだろう。
アメリカからイランに旅行するのは、ツアー会社や個人ガイド、ドバイやイスタンブールでの乗り継ぎ便などあらゆる手段を活用したとしても容易ではない。にもかかわらず、ハサン・ロウハニが大統領に選ばれた13年以降、アメリカ人のイラン旅行は増加の一途だ。
今やこの国は観光業の一大ブームが予想されている。年間訪問者数は現在の500万人から2025年までには2000万人に膨れ上がる見込みだ。
これまでは経済制裁によって、イランとの商取引どころかイランで外国のクレジットカードを使うことも不可能だった。こうした障壁が取り除かれることで、オンラインでの旅行予約、交通機関やホテルの確保、イラン国内で現金を引き出すことなどがもっと簡単にできるようになる。
さて、これまでイランで見逃してきたものは何だったろう?かなりたくさんあるはずだ。観光客が見るべきものをいくつか紹介すると......。
歴史の宝庫
イランの文化と歴史は古代文明にまでさかのぼる。聞かれもしないうちから誇らしげに歴史を語りだすイラン人も多い。
とはいえ、まず始めるべきは有名過ぎるこの場所から。首都テヘランにある元アメリカ大使館──79年11月に発生した米大使館人質事件の現場となった、イランが言うところの「スパイの巣窟」だ。
米大使館跡地が終わったら、本格的に古代の歴史に取り掛かろう。イランにはユネスコ(国連教育科学文化機関)登録の世界遺産が19件ある。古都シラーズ近郊にあるペルセポリスの神殿跡やイスファハンのイマーム広場もその例だ。
ムラー(宗教指導者)たちを祭ったモスクはいずれも圧巻。なかでも世界中から巡礼者が訪れる北東部の都市マシャドのイマーム・レザー廟は見逃すなかれ。イラン最大のモスクでもあり、建物内のツアーも行われる。
シラーズにある通称「ピンクモスク」(マスジェデ・ナスィーロル・モスク)も必見だ。一面のステンドグラスに彩られたモスク内部にいると、万華鏡に閉じ込められたように思える。
イチ押し イラン国内至る所がハズレなしだが、個人的にはイスファハンと最古の都市ハマダーン、シラーズなどがおすすめ。
想像を絶するイラン料理
イラン料理がどれもスパイシーだと観光客が決めてかかっているのは、イラン人にとって心外だ。実際のところ、イランには地方ごとに大きく異なる多種多様な料理がある。各種ケバブからスープ、シチュー、コメ料理やデザートなどだ。