アンコール・ワットは、夏に行ってはいけない
広すぎて暑すぎる巨大遺跡
遺跡観光の拠点は、シェムリアップという街です。長らく忘れ去られていた都は、いまではしがない田舎町ですが、遺跡のおかげでしょうか、シェムリアップには国際空港があります。日本からの直行便はまだないものの、近隣国から直接入ることができます。
美術的・民俗学的価値が高いことで知られるアンコール遺跡ですが、想像を遥かに超えるほど広大です。400平方キロという面積は名古屋市(326平方キロ)より広く、そこに大小600もの遺跡が点在しているのです。
あまりにも広くて歩いて回るのは不可能なので、レンタサイクルを紹介しているガイドブックをよく目にします。しかし、年間平均気温が30度近い土地です。日中はとにかく暑く、ワタクシが訪れた5月は地獄のようでした。比較的涼しいといわれる11月でも、平均最高気温は30度を超えます。
散策するならヤケドに注意
カンボジア国旗にも描かれているアンコール・ワットは、アンコールにある遺跡のひとつで、クメール建築の傑作と言われるヒンズー教寺院です。この寺院だけでも東京ドーム42個分もあり、ひととおり見学すると3時間はかかるでしょう。しかし、これは灼熱の遺跡探訪の入口にすぎません。
多くの観光客は次に、2キロ離れた場所にある、もうひとつのメジャー遺跡アンコール・トムの南大門をくぐります。こちらは3キロ四方の城壁に囲まれた、ヒンズー教と仏教とが混在した遺跡群エリア。寺院や王宮、塔、テラスなどが点在し、駆け足でまわっても4時間近くかかり、屋根のない遺跡も多いので、油断すると日射病にかかってしまうほど危険です。
この辺りで暑さに負けそうになりますが、もうひと踏ん張りしてタ・プロームまで行きましょう。自然のままに成長した樹木たちに呑み込まれた寺院は、日本人に一番人気だそうです。崩壊した箇所も多いのですが、地球を植物に乗っ取られるパニック・アドベンチャー映画の主人公になった気分に浸れます。しかし、ここも見た目以上に広く足場も悪いので、疲れた体にはきついかもしれません。