最新記事

世界遺産

アンコール・ワットは、夏に行ってはいけない

2015年7月28日(火)16時30分

広すぎて暑すぎる巨大遺跡

 遺跡観光の拠点は、シェムリアップという街です。長らく忘れ去られていた都は、いまではしがない田舎町ですが、遺跡のおかげでしょうか、シェムリアップには国際空港があります。日本からの直行便はまだないものの、近隣国から直接入ることができます。

 美術的・民俗学的価値が高いことで知られるアンコール遺跡ですが、想像を遥かに超えるほど広大です。400平方キロという面積は名古屋市(326平方キロ)より広く、そこに大小600もの遺跡が点在しているのです。

 あまりにも広くて歩いて回るのは不可能なので、レンタサイクルを紹介しているガイドブックをよく目にします。しかし、年間平均気温が30度近い土地です。日中はとにかく暑く、ワタクシが訪れた5月は地獄のようでした。比較的涼しいといわれる11月でも、平均最高気温は30度を超えます。

散策するならヤケドに注意

 カンボジア国旗にも描かれているアンコール・ワットは、アンコールにある遺跡のひとつで、クメール建築の傑作と言われるヒンズー教寺院です。この寺院だけでも東京ドーム42個分もあり、ひととおり見学すると3時間はかかるでしょう。しかし、これは灼熱の遺跡探訪の入口にすぎません。

 多くの観光客は次に、2キロ離れた場所にある、もうひとつのメジャー遺跡アンコール・トムの南大門をくぐります。こちらは3キロ四方の城壁に囲まれた、ヒンズー教と仏教とが混在した遺跡群エリア。寺院や王宮、塔、テラスなどが点在し、駆け足でまわっても4時間近くかかり、屋根のない遺跡も多いので、油断すると日射病にかかってしまうほど危険です。

熱帯モンスーン気候に属するカンボジア。雨季(5月~ 10月)と乾季(11月~4月)に分かれるが、年間を通して高温多湿なことには変わりない。対策は万全に

熱帯モンスーン気候に属するカンボジア。雨季(5月~ 10月)と乾季(11月~4月)に分かれるが、年間を通して高温多湿なことには変わりない。対策は万全に


 この辺りで暑さに負けそうになりますが、もうひと踏ん張りしてタ・プロームまで行きましょう。自然のままに成長した樹木たちに呑み込まれた寺院は、日本人に一番人気だそうです。崩壊した箇所も多いのですが、地球を植物に乗っ取られるパニック・アドベンチャー映画の主人公になった気分に浸れます。しかし、ここも見た目以上に広く足場も悪いので、疲れた体にはきついかもしれません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中