「YouTubeで調べてもいいのでしょうか?」...池上彰が説く、デジタル時代に子供に「教養」を身につけさせる方法とは
たとえばインターネットで調べ物をする時も、多くの子どもはキーワード検索で出てきたサイトを上から順に、せいぜい2つか3つ読んで終わりにします。
でも、出てきたサイトを数多く見ていくと、正反対の解説をするサイトに行き当たった! なんていうこともあるのです。
そこで「おや?」と疑問がわく。どっちが正しいのかと、また別のサイトを見てみる。図書館で調べてみる。
こんなふうに時間と手間をかけて、複数の情報源から知識を得る習慣を、ぜひ身につけてほしいと思います。
わが子には自分の意見を持つための試行錯誤をさせよ
しかし、手間をかけて得た知識は、それだけではまだ教養とは言えません。単なる知識を教養のレベルに引き上げるには、ものごとを深く考える姿勢が大切です。
たとえば、歴史の知識を例にとりましょう。鎌倉時代に元が攻めてきたとか、江戸幕府を開いたのは徳川家康だとか、そういう知識は教科書やネットで手に入ります。
しかし歴史の教養は、そこからもう一歩踏み込んで、そのできごとが世の中をどう変えたのか、歴史の教訓を後世にどう生かすのか、と考えを深めることで身につきます。
○○戦争が起きたのは××年という知識で終わらせず、「なぜ戦争が起きるのか」「どうすれば戦争を終わらせられるのか」「日本が戦争に巻き込まれることはないのか」と、いろいろなことをつなぎ合わせて考えてみる。
YouTubeの受け売りではない、自分の意見を持つための試行錯誤が教養につながります。