最新記事
キャリア

「教えてもらって当たり前」「チヤホヤされて勘違い」そんな新入社員を潰さない方法

2024年4月4日(木)18時50分
関 教宏 ※経営ノウハウの泉より転載

新入社員の意識や行動傾向とその背景とは

newsweekjp_20240404094440.png

次に、組織をあげて新入社員の育成・定着に取り組んでいく効果を高めていくためにも、新入社員の世代が持つ意識や行動傾向とその背景について解説します。

■新入社員の世代ならではの社会背景

個人差はありますが、まず前提として中学生や高校生のときにはスマートフォンを手に入れ、オンラインやSNS上でコミュニケーションを取ることが当たり前になっています。そんななか、人間関係の構築の仕方に独特の傾向が見られます。

●過剰忖度

空気を読みすぎて、悪目立ちしたくないという心理を持っています。

ニュースなどで「炎上」という言葉を聞いたことがあると思いますが、一度炎上してしまえば、投稿を削除したところですでに投稿は拡散されていて、ネット上に半永久的に晒され続けます。これによって、自身が誰にどう見られているかわからないといった恐怖を感じているのです。

ほかにも、投稿に対しての「いいね」機能ですが、自分も「いいね」を押してもらえるようにとりあえず「いいね」を押さなければならないといった過剰忖度傾向も見られます。

●相対的自意識

他人に自分を認めてもらうことで自身の存在価値を確認するという傾向です。

誰しも自分をよく見られたい、認めてほしいといった承認欲求はあるものですが、SNSのように24時間365日他人とつながり続ける環境のなかではそういった自意識が膨らむようです。そんななかで周囲からの評価は怖いが、自分を見てほしいといった葛藤が生まれています。

●SNSでつながるヨコ社会(村社会)

個人と個人が直接つながり、仲間関係が横に広がっています。そしてSNSではご存じのとおり、会ったこともない人と簡単につながることができます。そして、そのつながりに仲間意識も持っています。

そんな世界で生きてきている若者からすると、会社組織のタテ社会に対して違和感を覚えてしまうようです。

上下関係や上司部下の関係を理解していないということではなく、上司にはお互いに協力し合える仲間として接してほしいと願っている。たとえば、どうしていいか分からないでいる部下に対し、「自分で考えろ」とか「いちいち聞いてくるな」という上司は仲間ではないと見なしてしまうようです。

●意味づけ

「それってやる意味あるんですか?」若者をマネジメントする立場にある人ならば、一度は聞いたことがあると思います。新入社員は意味付けを大切にする傾向があります。

自分たちの仕事がどのようなもので、それがお客様にどのように貢献しているか、先々のあなたのキャリアのこの部分につながるのか、といった部分を伝えてやっと腹に落ちるのです。

かつては「つべこべいわずにやりなさい!」といった指示命令に対して理不尽さは感じても、それが当たり前だと思って従うという関係が通用していました。やればそれなりのリターン(報酬、成功体験、出世など)が見込めたからです。

しかし、今のような先が見通せない時代では、従ったところでそれに見合うリターンが得られるとは限りません。だからこそ「やる意味」を求める傾向があるのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国、ウォン安への警戒強める 企画財政相「必要なら

ワールド

マクロスコープ:意気込む高市氏を悩ませる「内憂外患

ワールド

ドイツ、連邦・州のドローン防衛を統合 ベルリンに初

ビジネス

次期FRB議長は「大幅利下げを信じる人物」=トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中