心配しても92%は意味がない。欧米で注目「考えすぎ」問題への対処法とは
行動は結果を変えるが、モヤモヤと心配をしているだけでは変化をもたらさない。想像上のネガティブな出来事が起きる可能性を小さくするのは、思考ではなく行動だ。事実、心配ごとの92%は、考えたところで結果に影響がないと著者は言う。
では、「やっかいな考えすぎ」には、どう対処すればいいのか。それには、まず自分が何に悩み、不安になっているのかを言語化して書き出すのが一番効果的だ。
ここでは本書に記された、職場で「来週の木曜日にリストラ会議が開かれる」という部署内の一斉メールが送られてきたというシチュエーションで考えてみよう。
上の表を参考にしながら、以下の手順を試してみてほしい。
(1)A欄に「状況」、つまり起こった事実を簡潔に書く。
(2)B欄にはAの状況を受けて自分が考えたこと、「思考」を素直に書き出してみよう。どんなことでも構わない。人に見せるものでもないので、カッコつける必要はなく、とにかく思ったことを正直に書くことが重要だ。
(3)C欄にはそのときの「感情」(主観でいいので感情の数値化もしてみよう)、「身体反応」、Aの出来事を受けて取った「行動」を書き出してほしい。
(4)最後のD欄には、B欄の思考の中にある「思考ウイルス」を見つけて書き出す。
この表を作る目的は、4の「思考ウイルス」を見つけて取り除くことにある。思考ウイルスとは、簡単に言えば「考え方の悪いクセ」のようなものだ。
事実を極端に0か100かで考えたり(白黒思考)、実際には知りようもない他人の考えを想像したり(読心術)、部内全員に当てられたメールを自分宛てだと思い込んだり(自己関連づけ)と、事実の認知を歪めてしまう思考のバグのようなものを、本書では「思考ウイルス」と呼び、18種類を紹介している。
ついつい「考えすぎ」に捕らわれてしまったときに、こうした思考ウイルスを発見できれば、自分が事実を正確に認識していないことに気がつくだろう。
ほんのちょっとボタンの掛け方を変えるだけで、認識が変われば、言葉の意味が穏やかになり、気分が楽になる。本当に考えるべき諸問題にフォーカスするために、無駄な「考えすぎ」を手放してみてはどうだろう。
『考えすぎてしまうあなたへ』
グウェンドリン・スミス 著
小谷七生 訳
CCCメディアハウス
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