最新記事

メンタルヘルス

心配しても92%は意味がない。欧米で注目「考えすぎ」問題への対処法とは

2022年8月19日(金)19時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

行動は結果を変えるが、モヤモヤと心配をしているだけでは変化をもたらさない。想像上のネガティブな出来事が起きる可能性を小さくするのは、思考ではなく行動だ。事実、心配ごとの92%は、考えたところで結果に影響がないと著者は言う。

では、「やっかいな考えすぎ」には、どう対処すればいいのか。それには、まず自分が何に悩み、不安になっているのかを言語化して書き出すのが一番効果的だ。

ここでは本書に記された、職場で「来週の木曜日にリストラ会議が開かれる」という部署内の一斉メールが送られてきたというシチュエーションで考えてみよう。

overthinkingbook20220819-2.png

『考えすぎてしまうあなたへ』141ページより

上の表を参考にしながら、以下の手順を試してみてほしい。

(1)A欄に「状況」、つまり起こった事実を簡潔に書く。

(2)B欄にはAの状況を受けて自分が考えたこと、「思考」を素直に書き出してみよう。どんなことでも構わない。人に見せるものでもないので、カッコつける必要はなく、とにかく思ったことを正直に書くことが重要だ。

(3)C欄にはそのときの「感情」(主観でいいので感情の数値化もしてみよう)、「身体反応」、Aの出来事を受けて取った「行動」を書き出してほしい。

(4)最後のD欄には、B欄の思考の中にある「思考ウイルス」を見つけて書き出す。

この表を作る目的は、4の「思考ウイルス」を見つけて取り除くことにある。思考ウイルスとは、簡単に言えば「考え方の悪いクセ」のようなものだ。

事実を極端に0か100かで考えたり(白黒思考)、実際には知りようもない他人の考えを想像したり(読心術)、部内全員に当てられたメールを自分宛てだと思い込んだり(自己関連づけ)と、事実の認知を歪めてしまう思考のバグのようなものを、本書では「思考ウイルス」と呼び、18種類を紹介している。

ついつい「考えすぎ」に捕らわれてしまったときに、こうした思考ウイルスを発見できれば、自分が事実を正確に認識していないことに気がつくだろう。

ほんのちょっとボタンの掛け方を変えるだけで、認識が変われば、言葉の意味が穏やかになり、気分が楽になる。本当に考えるべき諸問題にフォーカスするために、無駄な「考えすぎ」を手放してみてはどうだろう。

考えすぎてしまうあなたへ
 グウェンドリン・スミス 著
 小谷七生 訳
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アップル、見通しさえず株下落 第4四半期は予想上回

ワールド

米裁判所、マスク氏訴訟の手続き保留を決定 大統領選

ワールド

北朝鮮、31日発射は最新ICBM「火星19」 最終

ワールド

原油先物、引け後2ドル超上昇 イランがイスラエル攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される
  • 2
    「まるで睾丸」ケイト・ベッキンセールのコルセットドレスにネット震撼...「破裂しそう」と話題に
  • 3
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 4
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員…
  • 5
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 6
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 7
    天文学者が肉眼で見たオーロラは失望の連続、カメラ…
  • 8
    中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布さ…
  • 9
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 10
    自爆型ドローン「スイッチブレード」がロシアの防空…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 5
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 7
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 8
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後…
  • 9
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中