最新記事

メンタルヘルス

心配しても92%は意味がない。欧米で注目「考えすぎ」問題への対処法とは

2022年8月19日(金)19時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

どうしよう。ブライズメイドのために用意したドレスの色選びで失敗した。これじゃ新婦の私が太って見えちゃう。「あんなに太っていてドレスのセンスがない女と、なぜ新郎は結婚するんだろう」ってみんなに思われてしまう――。

こうして、ネガティブで破壊的な思考のスパイラルに陥ってしまったら問題発生だ。恐怖心や、ストレスのもととなる過剰反応を引き起こす。

「考えすぎ」に関して医師が心配するのは、それが患者の睡眠の妨げになっているかどうかだ。恐怖心による「考えすぎ」は、睡眠にとって不要な化学物質を脳内で生み出し、睡眠障害を引き起こす可能性がある。

「ネガティブな考えすぎ」により気分に長期的な影響がもたらされるのは明白であり、またそれはうつ病にも深く関わってると、研究で明らかになっている。では、こうした「ネガティブな考えすぎ」を頭から追い出すことはできないのだろうか。

「心配」や「考えすぎ」をやめられない根本原因

なぜ私たちは「ネガティブな考えすぎ」から抜け出せず、心配せずにはいられないのか。実はそれには、子ども時代の経験が大きく影響している。

そもそも子どもが先天的に心配性である確率は25~40%だと著者は言う。そして、子どもは、周りの大人が大丈夫なときにだけ、自分も安全であると生存本能的に考える。

すると、親や周囲の大人が眉間にしわを寄せたり、ため息をついたりしているのを見たときには、大人がそうしているならそれは重要なことで、大人の社会で生きていくために必要なことなのだと認識するのだ。

過剰に心配をする親は、得てしてわが子に対して過保護になりがちだ。そうして親が子どもを心配することで「この世界は、つらいことで満ちあふれた危険な場所だ。安全でいるためには、つねに警戒していなければならない」といったメッセージをいつの間にか子どもが受け取ることになる。

これが、私たちが「心配」や「考えすぎ」をやめられない根本的な原因である。

原因となる「思考ウイルス」は18種類

著者の診察室を訪れる多くの人は、こうした心配が、健康問題や睡眠障害、そして疲労の原因になっていることを理解しているという。にもかかわらず、彼らはそういったクセを手放そうとしない。心配するという行為が、逆に彼らを守ってくれると信じているからだ。反対に、もし心配するのをやめれば、必ず良くないことが起きると思い込んでいる。

このような考えは、迷信にすぎない。心配には、何かを予知したり予防したりする力は備わっていないからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 9
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 10
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中