最新記事

株の基礎知識

【展望】2022年の株式相場は2018年相場に近いものになる?

2022年1月5日(水)10時55分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

●1月、ポートフォリオをディフェンシブにシフト
前回のサイクル(2016~2018年)では、S&P500のボトムからトップまでの上昇率が62%であったのに対し、今回のサイクルでは、現時点でボトム(2020年3月)から108%も上昇しています。このことから、2度目の株価のピークを迎えるであろう8~9月を待たずにやや慎重なスタンスを取り、早目にディフェンシブへシフトすることを検討してみてはいかがでしょうか。

具体的には、配当重視型ETF、生活必需品セクターETF、ヘルスケア・セクターETFなどの購入をおすすめします。個別銘柄であれば、生活必需品、ヘルスケア、公益などのセクターから選んでみてはどうでしょうか。資金の一部を現金化するのもいいかもしれません。

●10~12月、ポートフォリオを景気敏感(シクリカル)にシフト
仮説(メイン・シナリオ)どおりに2022年の第4四半期に底を打った場合、そこからは積極的にリターンを取りにいくことを検討してみてください。

2016~2018年のサイクルでは、S&P500がトップを付けてからボトムを打つまでにちょうど20%下落したのですが、今回のサイクルにおいては、それまでの株価上昇が大きかっただけに、トップからの下落幅も大きくなることを頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。

決して、1回の買いで底値を拾おうとは考えず、複数回に分けて買いを実行することを強くお勧めします。

具体的には、ナスダックETF、成長株ETF、小型株ETF、ITセクターETFのほか、個別銘柄であれば、ITセクターを中心とした成長株や消費循環セクターなどのシクリカル銘柄を選んでみてはどうでしょうか。

株価サイクルと投資スタンス

2022年相場を展望するにあたって、「株価サイクル」を中心に考えてみました。

もちろん、株価サイクルの影響を受けにくい成長株やディフェンシブ株をメインに投資するのであれば、株価サイクルにあまり神経質になる必要はないでしょう。ただ、私自身は株価サイクルを積極的に活用しており、それによって大きな利益を上げてきました。

現在は株価サイクル(上昇相場)の2年目にあたり、2022年には3年目に入ることになるわけですが、株価サイクル上の立ち位置によってマーケットへの向き合い方は変わってきます。

上昇相場1年目(現在のサイクルでは2020年3月以降)は、勇気を振り絞って買い向かう必要がありますし、上昇相場2年目(2021年3月以降)には、押し目を丁寧に拾っていくことが求められます。

上昇相場3年目(2022年3月以降)になれば、慎重な対応が必要でしょう。売り場を探すことも考える時期になります。そして、もし上昇相場が4年目に突入するようであれば、現金比率を高めるなどの防御態勢を取ることになります。

kabumado20220105-2022forecast-3.png

私はいつも、このようなプロセスで将来のマーケットの方向性を考えるようにしています。当然ながら、いつでも必ずうまくいくというわけではありませんが、成功の確率の高い方法であると自信を持って言えます。

特に株価サイクルを投資戦略に活用することは、パフォーマンスの大きな改善が期待できますので、ぜひとも検討してみてください。

2021-12-01

[執筆者]
朋川雅紀(ともかわ・まさき)
個人投資家・株式投資研究家。大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立する。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。

※当記事は「かぶまど」の提供記事です
kabumado_newlogo200-2021.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米共和党州司法長官、ユニオン・パシフィックのノーフ

ワールド

トランプ氏、ベネズエラと協議開始の可能性示唆

ワールド

米FAA、国内線の減便措置終了へ 人員巡る懸念緩和

ワールド

タイGDP、第3四半期は前年比+1.2% 4年ぶり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中