【展望】2022年の株式相場は2018年相場に近いものになる?
●1月、ポートフォリオをディフェンシブにシフト
前回のサイクル(2016~2018年)では、S&P500のボトムからトップまでの上昇率が62%であったのに対し、今回のサイクルでは、現時点でボトム(2020年3月)から108%も上昇しています。このことから、2度目の株価のピークを迎えるであろう8~9月を待たずにやや慎重なスタンスを取り、早目にディフェンシブへシフトすることを検討してみてはいかがでしょうか。
具体的には、配当重視型ETF、生活必需品セクターETF、ヘルスケア・セクターETFなどの購入をおすすめします。個別銘柄であれば、生活必需品、ヘルスケア、公益などのセクターから選んでみてはどうでしょうか。資金の一部を現金化するのもいいかもしれません。
●10~12月、ポートフォリオを景気敏感(シクリカル)にシフト
仮説(メイン・シナリオ)どおりに2022年の第4四半期に底を打った場合、そこからは積極的にリターンを取りにいくことを検討してみてください。
2016~2018年のサイクルでは、S&P500がトップを付けてからボトムを打つまでにちょうど20%下落したのですが、今回のサイクルにおいては、それまでの株価上昇が大きかっただけに、トップからの下落幅も大きくなることを頭の片隅に入れておく必要があるでしょう。
決して、1回の買いで底値を拾おうとは考えず、複数回に分けて買いを実行することを強くお勧めします。
具体的には、ナスダックETF、成長株ETF、小型株ETF、ITセクターETFのほか、個別銘柄であれば、ITセクターを中心とした成長株や消費循環セクターなどのシクリカル銘柄を選んでみてはどうでしょうか。
株価サイクルと投資スタンス
2022年相場を展望するにあたって、「株価サイクル」を中心に考えてみました。
もちろん、株価サイクルの影響を受けにくい成長株やディフェンシブ株をメインに投資するのであれば、株価サイクルにあまり神経質になる必要はないでしょう。ただ、私自身は株価サイクルを積極的に活用しており、それによって大きな利益を上げてきました。
現在は株価サイクル(上昇相場)の2年目にあたり、2022年には3年目に入ることになるわけですが、株価サイクル上の立ち位置によってマーケットへの向き合い方は変わってきます。
上昇相場1年目(現在のサイクルでは2020年3月以降)は、勇気を振り絞って買い向かう必要がありますし、上昇相場2年目(2021年3月以降)には、押し目を丁寧に拾っていくことが求められます。
上昇相場3年目(2022年3月以降)になれば、慎重な対応が必要でしょう。売り場を探すことも考える時期になります。そして、もし上昇相場が4年目に突入するようであれば、現金比率を高めるなどの防御態勢を取ることになります。
私はいつも、このようなプロセスで将来のマーケットの方向性を考えるようにしています。当然ながら、いつでも必ずうまくいくというわけではありませんが、成功の確率の高い方法であると自信を持って言えます。
特に株価サイクルを投資戦略に活用することは、パフォーマンスの大きな改善が期待できますので、ぜひとも検討してみてください。
2021-12-01
[執筆者]
朋川雅紀(ともかわ・まさき)
個人投資家・株式投資研究家。大手信託銀行やグローバル展開するアメリカ系資産運用会社等で、30年以上にわたり資産運用業務に従事。株式ファンドマネージャーとして、年金基金や投資信託の運用にあたる。その経験を生かし、株価サイクル分析と業種・銘柄分析を融合させた独自の投資スタイルを確立する。ニューヨーク駐在経験があり、特にアメリカ株式投資に強み。慶応義塾大学経済学部卒業。海外MBAのほか、国際的な投資プロフェッショナル資格であるCFA協会認定証券アナリストを取得。著書に『みんなが勝てる株式投資』(パンローリング)がある。