最新記事

教育

性教育は妊娠・避妊だけじゃない。「性犯罪から身を守る方法」何歳からどうやって教える?

2021年8月10日(火)16時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

kidsandsexbook20210810-3.png

『子どもと性の話、はじめませんか?』175ページより

今からでも間に合う「キャッチアップ性教育」

小さい頃からの性教育が大切だと言われても、すでに思春期になっていて、今さら子どもと性の話などできないという人は多いかもしれない。

宮原氏がそんな保護者に提案するのが「キャッチアップ性教育」だ。本やサイト、動画などのツールを活用して、子どもに正しい知識を伝える方法である。

海外の調査によると、正しい知識を得ることにより、子どもが性行動に慎重になり、経験する年齢を遅くすることにもつながるという。

保護者が子どもに性の話を直接するのではなく、思春期向けに書かれた性の本を渡したり、サイトや動画などを教えたりして、それらに代弁してもらう。渡しにくい場合は、本をそっと子どもの部屋の本棚やトイレに並べておくのも手だ。

子どもが性について知りたいと思ったときに、アダルトサイトではなく、信頼できる知識に触れられる環境を整えておくのだ。子どもには「分からないことがあれば、いつでも聞いてね」と伝えておこう。

また、本やサイトなどのツールをきっかけに、性の会話をしてみる。小さな対話を重ねながら、子どもと性の話ができる関係性を築いていく。その積み重ねにより、性の話も日常会話のひとつにできるようになる。

大切なのは、子どもに何か困ったことがあったとき、保護者に相談できるような関係をつくることだ。性の会話を始めるのに遅すぎることはないと宮原氏は断言する。

考えてみれば、学校での性教育では、踏み込んだ内容に触れることはない。一方で、親子の間で性の話はなんとなくタブーだと思っている人が多いだろう。

しかし、子どもたちが偏った内容のアダルトサイトや先入観が入った友人や先輩の話を鵜呑みにしてるとしたら、とても危険だ。

性教育はセックス、妊娠、避妊だけを教えるものではない。子どもたちが性犯罪に巻き込まれないためにも、自分や相手を守るためにも大切な知識なのだ。

子どもと性の話、はじめませんか?――
 からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』
 宮原由紀 著
 高橋幸子 監修
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国製造業PMI、12月は9カ月ぶり節目回復 非製

ビジネス

エヌビディア、イスラエルAI新興買収へ協議 最大3

ビジネス

ワーナー、パラマウントの最新買収案拒否する公算 来

ワールド

UAE、イエメンから部隊撤収へ 分離派巡りサウジと
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中