最新記事

脳科学

時間を守れないのは性格のせいではなく、脳を仕向ける「技術」を知らないだけ

2020年5月1日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

YinYang-iStock.

<例えば、1つの作業を終えたら、次にやることに少しだけ手を付けておく。「○○しなきゃいけない」ではなく「○○する」とつぶやく。脳がどのように時間を管理しているかを知れば、誰でもタイムマネジメントがうまくなる>

「時間を守れない」

ビジネスパーソンにとっては、致命的な欠点と言えるだろう。ビジネスマナーの基本中の基本である「時間を守ること」ができなければ、信頼を得ることは難しい。

しかし、悪気があるわけではない。やる気がないわけでもない。相手を軽んじているわけでもない。ただ、時間が守れない――。そんな悩みを抱える人もいる。分かっているのに直せない、というわけだ。

こうした時間管理の問題は、性格のせいにされがちだし、本人もそう思いがちだが、それでは問題は解決しないと、作業療法士の菅原洋平氏は言う。では、どうすればいいか。

時間管理を、脳の問題として捉えればいい。

ベストセラーとなった『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)や『すぐやる!――「行動力」を高める"科学的な"方法』(文響社)などで知られる菅原氏は、新刊『脳をスイッチ!――時間を思い通りにコントロールする技術』(CCCメディアハウス)で、時間管理を脳の問題として捉え、行動を改善する方法を紹介している。

脳が「どのように時間を管理しているのか、どうすれば時間を守り、思い通り、かつ有効に使うことができるのか」に着目するというわけだ。

菅原氏はリハビリテーションの専門家。クリニックで外来を担当する傍ら、脳の仕組みを利用して、より快適に仕事ができるように企業で社員に向けた研修を行っている。そんな中で、「締切ギリギリにならないと作業を始められない」「打ち合わせに遅れそうになって、いつもダッシュする」といった、時間管理に関する悩みと向き合ってきた。

脳の中に流れる「脳内時間」と時計が刻む「時計時間」には、ズレがあり、このズレが社会生活の中で「時間」の問題として現れてくると菅原氏は言う。

本書では、「時間を守る」「生活リズムを整える」「時間効率を上げる」「時間のイライラをなくす」という4つのカテゴリから、時間をコントロールする技術を提案している。ここではその中から、時間を有効に使える脳になるポイントをピックアップしてみよう。

「いつも時間を守れない」を「遅刻したことがあった」と言い換える

「私はいつも時間が守れません」

菅原氏によると、これは時間を守れない人が使う共通の言葉であり、この何気なく使っている言葉が脳に大きな影響を与えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国は競争相手にシフト、欧州は内需拡大重視すべき=

ビジネス

米経済活動、ほぼ変化なし 雇用減速・物価は緩やかに

ビジネス

米国株式市場=4日続伸、ダウ314ドル高 利下げ観

ワールド

トランプ氏、南アフリカを来年のG20サミットに招待
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中