ウォーキングは、脳を活性化させ、ストレスを低下させ、つながりを感じさせる
これに加えて、ウォーキングにはドーパミンやセロトニン、エンドルフィン、オキシトシンといった「幸福ホルモン」や、アドレナリンの分泌を促す効果もあります。その結果、気分が明るくなり、元気で幸せで、満たされた感覚を得られるのです。
感情と体の動きはコミュニケーションの基盤であり、意識しているか否かにかかわらず、精神状態は姿勢やしぐさ、歩き方に表れるもの。ウォーキングは心を解きほぐし、感情を整理しやすくしてくれる上に、ボディランゲージを使って内面をオープンに表現する後押しにもなります。室内での対面カウンセリングからウォーキング・セラピーに切り替えたクライアントに表れた大きな変化の1つが、この点でした。
なかでも、自然の中でのウォーキングの効果は絶大です。音や匂いや景色が、記憶と思考、感情を呼び覚ましてくれるのでしょう。
身体面の効果
ウォーキングの健康効果は計り知れません。血圧を下げ、マイナス思考を脇へ追いやることで心身のストレスを低下させます。コレステロール値を低下させ、代謝を活性化し、体重を減少させる効果もあり、その結果として血のめぐりが改善され、各臓器に酸素と栄養が行き渡り、頭がすっきりすることにもつながります。こうした効果を考えると、やはり継続的なセルフケアは何よりも優先されるべきだと痛感します。
スピリチュアルな面の効果
「スピリチュアル」という言葉に拒否反応を示す人もいます。ビバリーもそういうタイプだったので、私は代わりに「つながり」という言葉を使うことにしました。表現はともかく、スピリチュアルな側面があるからといって、ウォーキング・セラピーを敬遠しないでほしいと願っています。
人間の体はもちろん物質で成り立っていますが、だからと言って「魂」の存在を否定することはできませんし、互いにつながりたい、自然と一体になりたいという根源的な欲求は誰にでもあると、私は信じています。だからこそ人間は、周囲と切り離されたと感じたときに、気持ちが不安定になり、さまざまなつらさを感じるのでしょう。
ストレスが高じて視野が狭くなり、自分を癒してくれるものの代わりにストレス源となるものにばかり目が行くようになると、自分の内面のスピリチュアルな(あるいは、つながりを求める)感情が死んでしまいます。
自然の中でのウォーキングは、自然との深く、強い結びつきを感じさせてくれます。かすかにでもこの感覚を実感できれば、心の回復と幸福感、心身の健康にとってスピリチュアルな要素、あるいはつながりがいかに大切かを理解できるでしょう。
(中略)
時間を取り返す
ここまでの説明で、外に出て歩くことの意義は伝わったと思います。でも、問題がありますよね? 優先順位と責任の問題です。まず、のんびり歩いている暇がありません。仕事を抱え、締め切りに追われ、上司の歓心も買わなければいけない。子供は一人で習い事に行けないし、家事もたまる一方......。
よく分かります。時間は貴重です。特に仕事に多大な時間を取られている場合には。