最新記事

BOOKS

東大生が世界で活躍するために読む本の共通点とは?

2020年1月11日(土)11時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

book200111-20yrsold-3.jpg

mizoula-iStock.

スタンフォード大学でアントレプレナーシップとイノベーションの講座を担当している著者が、息子が20歳になるのを機にまとめたという本書には、自身が「社会に出たときに知っていればよかったと思うこと」「社会で自分の居場所をつくるのに不可欠だと思ったこと」が詰まっています。

著者の講座は全米の起業家育成コースの中でもトップクラスの評価を得ているそうですが、この本もまた、「起業家精神」とは何か、「イノベーション」とは何かについて学ぶことのできる、最良のテキストになっています。

東大生協では、最初は内容に興味がある人が買っていましたが、その後、徐々に火がつきました。海外の名門大学の講義本はどれも東大生の関心を引いたようですが、タイトルがまさに現役大学生の年齢だということもあってか、他に比べて毎年堅実に売れ続ける本の代表格でした。

といっても、書店として特別なことをしたわけではないのです。ただ、東大生は自分で良書を見つけることができるため、この本に対しても実に察しがよく、反応も早かった記憶があります。世間の評判とは関係なく、東大生自らが「いい本」だと見抜いたのが、この本だったのでしょう。

東大生も大いに刺激を受けたのでは?

この本のどこが東大生を引きつけたのかと言えば、やはり、発想力を鍛える過程が実際の講義を基に明かされている点ではないかと思います。通常は鍛えられるものではないとして、諦めてしまいがちな「発想力」を、誰でも身につけられるものとして実践しているのです。

実効性のある「起業家精神を身につける方法」を一冊で知ることができるのが、この本の大きな魅力であり、それは東大生にとってものすごく有効な情報でもあるのでしょう。

また、本書を開くと、冒頭にこんな一文があります――「いま、手元に5ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」。

まず、この一文に引き込まれます。そこから次々に、スタンフォードの学生たちの成功アイデアが列挙されるため、私自身、この一冊を読むだけで一体どれだけの事例を学ぶことができるのだろう、と圧倒されたことを覚えています。本当にインパクトがありました。

それと同時に、海外の大学では通常の講義でこんなにもレベルの高いことをやっているんだ、という実態を突きつけられる思いがしました。日本の大学ではまだまだいわゆる「座学」、つまり受け身の講義が多いため、東大生も大いに刺激を受けたのではないでしょうか。

もちろんスタンフォードの学生は優秀なのですが、この本に登場するアイデアは、例えば、混んでいるレストランで行列に並ばなくて済む方法など、それほど突拍子なものではなく、ほんの少し頭をひねってみるだけでいいんだ、と思わされるものばかりであることも印象的です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中