東大生が世界で活躍するために読む本の共通点とは?
さらに頭を鍛えるための本を選ぶ東大生
東大生協で働くようになってすぐ、東大生には共通の読書傾向があることに気付きました。東大生は現状に満足せず、さらなる高みを目指していること、そして、やはり勉強が大好きであることが、彼らの読書傾向に反映されていたからです。
例えば、難関試験を突破した「日本一の学生」であるはずの東大生の多くが読んでいる本のタイトルに共通するのが、「頭を鍛える」「論理的思考」「地頭」「勉強法」といったワードでした。つまり、さらに頭を鍛えるための本だったのです。
そのほかにも、海外の名門大学や一流企業に関する本、最新の科学知識や最先端の情報を入手できる本、歴史や芸術などの教養を深めようという意識から読んでいるのだろうと思われる本を購入していく学生が多くいました。
ただ、それだけでなく、それらに関する専門書や新書、ノンフィクションやビジネス書など、普通の大学生が手に取らないような本も併せて選んで、とにかくたくさんの本を読んでいる、というのが東大生の読書傾向の大きな特徴です。
そうした傾向から分かったことは、世間のベストセラーや話題書、売り上げランキングなどに惑わされずに、「自分が読むべき本」を選ぶことができる選書能力の高さを、東大生は持ち合わせているということです。それゆえ、本をうまく使うことができるのではないでしょうか。
つまり、東大生はただ本を「読んでいる」だけではなく、「最大限に活用している」のです。彼らがたくさんの本を読むというのは、本に対して、それだけの時間もお金も投資しているという姿勢でもあります。
投資だからこそ、読む本を真剣に選び、「頭を鍛える方法」「海外で活躍するために必要なこと」「最新科学かつ最先端の情報」「教養を深める」など、自分に必要なことを確実に入手できる情報源として、本を活用しているともいえます。
東大生が20歳のときに読んでいる本
東大生は世間のベストベラーや話題書はあまり興味がないようで、私が担当していた頃に飛び抜けて売れていたのも、当時のベストセラーだった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海・著、ダイヤモンド社)や村上春樹さんの新刊(『1Q84』新潮社)ではありませんでした。
それらの本よりも、20世紀の名著の復刻版である『正義論』(ジョン・ロールズ著、紀伊國屋書店)や、NHKの「白熱教室」でも話題になった『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル著、早川書房)などのほうが、より多くの東大生に手に取られていたのです。
そして、『これからの〜』が売れ始めたとき、一緒に並べたことから確実に売れるようになったのが、『20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ著、CCCメディアハウス)でした(編集部注:重松氏は著書の「東大生が『世界で活躍するため』に読んでいる本」ランキングで、『これからの~』を1位に、『20歳のときに~』を2位に選んでいる)。