東大生が世界で活躍するために読む本の共通点とは?
読書好きの東大生が知っている、自分の頭で考える重要性
『20歳のときに知っておきたかったこと』と『これからの「正義」の話をしよう』には、海外の名門大学でやっていることを実際に知ることができる本だということ以外にも、共通点があります。それは、どちらの本も、自分の頭を使うことがテーマになっている点です。
『これからの~』はハーバード大学の哲学の講義ではありますが、ただ単に、それぞれの哲学者の思想を学ぶものではありません。
1人を犠牲にして5人が助かる状況があればその1人を殺すべきか、金持ちに高い税金を課して貧しい人々に分配するのは公平なことか......といったテーマについて、学生ひとりひとりが自分の頭を使って答えを導き出していきます。
一方、起業家精神を学ぶ『20歳のときに~』では、課題をこなしていく必要があるため、自分でゼロからアイデアを出し、それを実践していく必要があります。仲間といろいろなアイデアを出し合って取り組んでいく様子は、純粋に楽しそうで、個人的にも非常に興味深く読みました。
自分の頭で考えることがいかに重要か、それを分かっているがゆえに、東大生は常に「頭を鍛える」ことに関心が高いのだと思います。そんな東大生にとって、これらの本は、いずれ海外で活躍するために必要なことを学ぶ最適な教材だったのではないでしょうか。
量が質に変わる――多読で選書のコツが身につく
東大生のように本を最大限に有効活用するには、まずは、ベストセラーや話題書、ランキングなどに惑わされず、自分の知りたいことは何かを見つめ直して、本を選ぶことが大事になります。
次に、「量が質に変わる」ことを信じて、多読に挑戦してみるのはどうでしょうか。なぜなら、東大生にはたくさんの読書を通じて勉強してきた蓄積があり、多読の能力が既に身についているのも事実だからです。
そこで、3カ月でビジネス書30冊、半年で歴史に関する新書50冊、1年でミステリー小説100冊などのように期間とテーマを決めて、とにかく読んでみることをお勧めします。そのうちに読書への自信がつき、選書のコツも確実に身についていきます。
最後に、読書(インプット)とアウトプットを必ずセットにすることが重要です。
私の著書『東大生の本の「使い方」』でも、東大生の情報交換について触れていますが、東大生は意外にも、最もアナログな情報源である「口コミ」を多用しています。読んだ本について友達同士で話し合っている姿を、生協の書店内でも何度も目撃しました。
読んだ本について家族や友人に話す、読書ノートをつける、読書会に参加する――そこまでをセットにした読書習慣を作ってみてください。面倒に感じるかもしれませんが、ただ読んで終わりにするのでは、せっかく読書に割いた時間やお金がもったいないと言わざるを得ません。
知識や情報をしっかり自分のものにして今後に活かしていくには、読んだ後も大切です。本や読書に対するそうした姿勢こそが、東大生が東大生になり得た秘密......とは言い過ぎかもしれませんが、東大生の頭に近づく一歩となるはずです。ぜひお試しください。
『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳/三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
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『東大生の本の「使い方」』
重松理恵 著
三笠書房
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