最新記事

プレゼンテーション

名門MBAケロッグの名物教授、初めてのプレゼンは「ニワトリの洗い方」だった

2019年10月9日(水)19時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

そして、しっかりと両手で羽を押さえながら、ニワトリを箱の中に戻した。「以上がニワトリの洗い方です」と、私はまとめに入った。

「3つの要点を覚えておいてください。ニワトリの体をしっかり押さえること、刺激の少ない石鹼を使うこと、しっかりと体を乾かすことです。実際には、とても簡単なことです」

私はもうくたくたで、濡れた体のあちこちにニワトリの羽根がくっついていた。それでも、プレゼンをやり遂げたことで高揚していた。私が道具をまとめている間、聞いていた人たちは熱い拍手を送ってくれた。その日のプレゼンのなかで、最も盛り上がった一つであることは間違いなかった。私は自分の席に戻り、あとの人たちのプレゼンを見た。

その日の表彰式で、私は青いリボンをもらった。得点はトップだった。審査員の人たちは、論評で私のプレゼンをとても褒めてくれた。特にニワトリを使った実演が評価された。

この日、私は3つの重要なことを学んだ。

第一に、プレゼンにはスリルがあるということ。怖さと興奮、心と体の高揚が混然一体となる。自分が一身に注目を浴びるのだ。

第二に、いくつかのシンプルなルールに従うことが役立つということ。最初の説明、最後のまとめ、はっきりしたストーリー、シンプルなビジュアルが本当に役立つ。プレゼンの基本に、それほど複雑な部分はない。

そして第三に、上手なプレゼンによって、どんなことでも面白くして、相手の関心を引きつけられるということ。関心を引きたければ、動きのある要素が常に物を言う。たとえば、羽をばたつかせて鳴き叫ぶニワトリのように。居眠りしていた人も確実に目を覚ます。

◇ ◇ ◇

こうした少年時代の体験談を綴った本書で、カルキンス教授は相手(聞き手)の見定め方からストーリー・構成、データの使い方、そもそもプレゼンをする必要があるのか否かということまで、プレゼンを成功させるためのコツを詳しく解説していく。

カルキンス教授によれば、「プレゼンに秘訣などない。必要なスキルはシンプルで、成功へのカギもはっきりしている。問題点は簡単に特定、修正ができる」とのこと。実績に裏打ちされた説得力がそこにはある。

彼はこう書く。

「世界一のアイデアをもっていても、それをうまく示すことができなければ理解してもらえない。会社の経営幹部に計画の提案をすることは、いくつかの面でニワトリを見本市に持っていくことに似ている。見栄えが最高に良くなるように、磨きをかける必要があるのだ」

カルキンス教授によるプレゼンのコツを、明日から2回、抜粋して掲載していく。

※第2回:プレゼンは緊張したほうがいい、人前で話すのに恐怖を感じるのは当然だ


ニワトリをどう洗うか? 実践・最強のプレゼンテーション理論
 ティム・カルキンス 著
 斉藤裕一 訳
 CCCメディアハウス


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英失業率、第4四半期5.2% パンデミック除き約1

ワールド

IS戦闘員とみられる豪国民の家族、政府は帰国支援せ

ワールド

金価格が2%超下落、ドル上昇で 取引閑散

ビジネス

日経平均は4日続落、一時600円超安 株高後の調整
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中