最新記事

対談

学生はバイトするな、お金のために時間を犠牲にするな【箕輪×正田】

2018年2月21日(水)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

正田 お金と時間を天秤に掛けたとき、時間のほうが大事な人は、会社を売ることを選んでいるように思います。

会社を売るとき、値段を決めるのに「利益の◯年分」という計算をするんですが、平均するとだいたい利益の5年分です。そこで僕がよく言うのは、会社を売るということは寿命が5年延びるのと同じだということ。売るたびに5年ずつ寿命が延びる、と考えるんです。

箕輪 メタップスの佐藤航陽さんや、イケダハヤトさんも、「お金がコモディティ化している」と言っていて、ビットコインバブルで1億円儲かったサラリーマンなんて一杯いる時代。

そうやって、じゃぶじゃぶお金が稼げるようになると皆、時間を犠牲にしてお金をもらうという考え方がおかしいと気づくんでしょうね。

会社経営も、それが自分の人生において最高にやりたいことなら迷わずやるべきだけど、耐えて義務感でやるぐらいならサクっと売っちゃって、その分の時間を買ったほうがいいという。

お金よりも時間のほうが大切だという流れは、加速すると思いますよ。すごい経営者はみんな、ぼーっとしてる時間が許せないと言ってますね。

正田 「学生はバイトするな」という話に戻りますけど、「時間を売らないとお金は手に入らない」という考え方がほんとよくなくて、「お金も時間も手に入る方法を考えましょう」というのが本筋であるべきです。

それに、短時間で金持ちになろうと思うと、会社を売るほか、特にないんですよね。スポーツ選手が稼げるといっても所得税で結構持っていかれるし、上場しても、上場審査する証券会社の目を気にすると、役員報酬で取れる金額はたかが知れている。取れても2000万円ぐらいですよ。

箕輪 マジすか!? もうプライベートカンパニーのまま好き勝手やるしかないんだ。

正田 まずプライベートカンパニーで好き勝手やって、会社を売って資産をちゃんと蓄えて、「このビジネスには人生を賭けてもいい」という気持ちが出てきてから、初めてIPOを目指すぐらいでいいと思います。

稼ぎたいだけなら、プライベートカンパニーで儲けて、それを売るのがいちばんいいです。上場して創業者にいくら現金が入るかといったら数億ですし、ゼロというのもザラ。つまり、上場は金儲けのためじゃないんですよね。

自分が会社を追い抜いたら売り時

正田 じゃあ、会社を売ったらどうなるか。DMMに70億円で買ってもらったCASHの例があるわけです。だから、会社を売るという選択肢は絶対に持っておいたほうがいい。僕は2つの軸から、売り時を決めています。

1つは「利益」。不思議なことに、人の会社を売る手伝いをしていると、例えば3店舗を100店舗に増やしても、人が増えてシステムを導入して......とやっていたら利益は変わらなかった、ということがままあります。そのタイミングがある程度読めているなら、利益がピークのところで売ったほうがいい。

もう1つは、自分の成長が会社の成長を追い抜いたとき。自分の成長と会社の成長って違うんですね。会社は成長しているけど自分は成長していない、逆に自分は成長しているけど業績が悪い、どちらのケースもあり得ます。

僕は、自分の成長が会社の成長を追い抜いたら、売り時だと考える。もうその会社から学べることがないのに続けていても、時間の無駄じゃないですか。

この話をすると、「次にやることが決まっていないから、売るのはちょっと」という人がいます。次にやることが決まらないのは、目の前の仕事に必死になっているからです。まずは自分の器を空っぽにすることが大切。空っぽになって初めて、次に入れるものが見つかるんですよ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今

ワールド

APEC首脳会議、共同宣言採択し閉幕 多国間主義や

ワールド

アングル:歴史的美術品の盗難防げ、「宝石の指紋」を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中