学生はバイトするな、お金のために時間を犠牲にするな【箕輪×正田】
正田 確かに、面白くないとお金って集まらない。
箕輪 事業計画書を見て「儲かりそうだな」と思っても、面白くなかったら、お金を出したいとは思わない。実は編集者も同じで、ハッタリをかます力というのがあります。「普通に考えるとこの本は初版1万部だけど、箕輪がこんなにいいって言うならお祭り騒ぎになるだろう、じゃあ3万部刷っておくか」と思わせる、みたいな。
正田 そうですね。事業の内容って、正直、ベンチャーキャピタルも投資家もよく分かってないんです。
箕輪 へええ!
正田 例えば、(決済代行サービスなどを手掛ける)メタップスが何をやろうとしているかとか、分かっていないと思います。メルカリの山田進太郎さんがメルカリをやると言ったときも、「ヤフオクと何が違うの?」と思いながら、それでもお金を出している。それは、この人なら何かやってくれるだろうと思っているからです。
箕輪 まさに人の魅力ですね。
正田 逆に言うと、そこが僕の今の弱みでもあるんです(笑)。僕は人にお金を出してもらったことがない。投資家と同じ目線で話すから、可愛げがないんですよ。代わりに、困ったらお金で解決するっていう癖が身についています。
箕輪 「親を見て自分の大きさが決まる」というのもありますよね。自分のスケールは、社長あるいは上司で決まるといってもいい。起業家になると起業家とばっかりつるむじゃないですか。だから自然と話のスケールがでかくなるし、金も度胸もでかくなる。
でも、その辺の大企業に就職すると、上も小さいから小さくまとまるじゃないですか。資料のちょっとしたミスでネチネチ叱られたりするわけだから。僕も、見城さんを見ているおかげで、サラリーマンだけどでかくいられるというのはあります。見城さんが"張りまくる"姿を見ているから。
正田 僕が最初に起業したのは『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)を読んだのがきっかけ。僕が通っていた中高一貫校は、上場企業の社長の息子が多かった。「うちの親は貧乏父さんだな」と思ったんです。じゃあ、自分の「金持ち父さん」を探さないといけないと思って、そこで思考回路が変わったのかもしれません。
サラリーマンがダメだという気はないですよ。「親の会社が倒産した」という友人も多かったですが、うちの親は破産もせずに働き続けました。どちらが儲かったかというと、うちの親かもしれないんです。でもやっぱり、自分の「金持ち父さん」を探す体験をしたのは、大きい体験だったと思います。
お金よりも時間という価値観
箕輪 今回の本を読んでも分かりますが、正田さんのお金の考え方が普通の人と違うのは、いい意味でお金を道具として捉えているところですね。「お金で解決するならこれほどいいことはない」という。
こういう話をすると、「お金に汚い」みたいな話に聞こえる人もいるかもしれないけど、ちゃんと解析すると、まったくお金に執着してないですよね、正田さんは。会社をサクっと作ってサクっと売るのがいいんだ、という考えもそことつながっている。
何よりも、自分の人生や自分のやりたいことが大事、ということですよね。