最新記事
AI

ChatGPT開発元の「著作権問題」を内部告発...元研究者が自宅で死亡

OpenAI Whistleblower Suchir Balaji Found Dead In Apartment: What We Know

2024年12月16日(月)17時20分
ジェームズ・ビッカートン

サンフランシスコ市監察医務局は、バラジの死因を自殺と断定したと発表した。警察は今週に入ってから、「現時点で他殺の証拠は見つかっていない」と述べた。

バラジは、2020年に研究者としてオープンAIに入社したが、2022年になるころには、著作権法に対する同社の姿勢を危惧するようになった。

バラジは2024年10月23日、X(旧ツイッター)にこう投稿していた。「私はオープンAIで4年ほど働き、最後の1年半はChatGPTに携わった。はじめのうちは、著作権やフェアユース(公正使用)といったことについて詳しくなかったが、生成AI開発企業を相手取った訴訟が多数起きているのを知り、関心を持つようになった。

「この点について理解を深めようとするうちに、私は次のような結論に至った。多くの生成AI製品に関しては、フェアユースだという抗弁は妥当ではないように思える。そのいちばんの理由は、生成AIは、自らが学習したデータと競合する代替物を作り出すことができるからだ」

バラジは続けて、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された自身のインタビュー記事を共有した。同紙は現在、自社の著作権を侵害されたとしてオープンAIを提訴している。

このインタビューの中でバラジは、自分は当初、AIについて、病気の治療や老化の防止といった「解決不可能な問題を解決するために活用できる技術」と考えていたと語っていた。しかし時間が経つにつれ、著作権法に対するオープンAIの姿勢に幻滅するようになったとし、こう言った。「もしあなたが自分と同じ考えなら、同社を去るしかない」

バラジは、個人のブログに論文を掲載し、オープンAIがChatGPTでやっていることは著作権のフェアユースだという抗弁は有効ではないという考えを示した。そのうえで、「同様の主張は、幅広い領域における生成AI製品の多くで成り立つだろう」と指摘していた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中