中国、高級ブランドの「中古・グレー市場」が興隆...価格上昇と景気低迷で
中国で高級ブランドの中古品市場とグレーマーケットが人気を集めている。景気が弱い中でブランド品の価格が上昇し、消費者が安い購入方法を求めた結果で、フランスのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)などの高級ブランド大手は懸念を深めている。写真は高級ブランドの中古品などを扱うEコマースサイトのライブストリーミング。23年撮影。(2024年 ロイター/Xihao Jiang/File Photo)
中国で高級ブランドの中古品市場とグレーマーケットが人気を集めている。景気が弱い中でブランド品の価格が上昇し、消費者が安い購入方法を求めた結果で、フランスのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)などの高級ブランド大手は懸念を深めている。
中国の需要減退を主因とし、LVMHやイタリアのサルヴァトーレ・フェラガモなどの高級ブランド企業が最近発表した四半期決算が減収となった。
コンサルタント会社リハブによると、海外などから仕入れた高級ブランド品を、中国の旗艦店よりも20─50%安く売る「得物(DeWu)」などのプラットフォームがここ数年で興隆。こうしたグレーマーケットは年間570億ドル規模と推計される。
中古品市場も盛り上がっている。中古ブランド品のマーケットプレース、ZZERの創業者であるジュー・タイニチ氏は「売り手の数は急増しており、その過半数が初めて高級アイテムを売る人々だ。しかし買い手側は横ばいにとどまっている」と話す。
このためジュー氏によると、今年に入ってからの中古ブランド品の平均購入価格は昨年より下がり、注文額も平均で10%程度減っている。
コンサルタント会社iリサーチの推計では、ZZERや「紅布林(PLUM)」、「閑魚」といったプラットフォームを含む中国の中古ブランド品市場は2020年以来、年率30%を超える成長を遂げている。
中国の今年9月の小売売上高は3.2%増と、低い伸び率にとどまった。世界的な高級ブランド大手の売上高において中国は25%程度を占めており、同国の消費低迷は懸念すべき兆候。中古品とグレー市場への関心の高まりは、中国での売り上げを守りたい大手にとって新たな悩みの種となっている。
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