高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──日本の新幹線も参入
How US High Speed Rail Plan Compares to China's
アメリカで計画されている高速鉄道路線の多くは、まだ開発の初期段階にあり、最終的な認可に至っておらず、いくつかの重要な詳細も明らかになっていない。
提案されているプロジェクトのひとつ、ダラス-ヒューストン線は、日本の新幹線の技術を使い、時速約380キロで列車を走らせることを目標としている。開発業者によれば、両都市間の所要時間は90分に短縮される。現在は車で3時間25分、バスで4時間以上かかる。
この開発計画は、今年4月にジョー・バイデン大統領と岸田文雄首相からお墨付きを得ており、アメリカの国営旅客鉄道会社アムトラックと、ダラスに本社を置く民間会社テキサス・セントラル社の共同開発として進められている。
これとは別に、北中部テキサス自治体協議会(NCTCOG)はダラスとフォートワースを結ぶ高速鉄道の計画に取り組んでいるが、いまだに商業パートナーを探している。しかも環境影響調査に関する国家環境政策法(NEPA)の手続きが完了するのは2025年初頭になる見込み、とダラス・モーニング・ニュース紙は伝えている。
民主党のマイク・クイグリー下院議員は、シカゴとセントルイスを結ぶ高速鉄道路線の建設を求めているが、この路線の計画は正式に提出されていない。特筆すべきは、アメリカで提案されている路線のなかで建設計画が決まっているのはラスベガスと南カリフォルニアを結ぶ路線だけで、それ以外は着工する目途が立っていない。
高まる高速鉄道の需要
ノースウェスタン大学の公共交通専門家イアン・サベージ教授は、本誌の取材に対し、中国は人口密度が高いため、高速鉄道はより理にかなったものであることを示唆したが、テキサス州の一部に鉄道網を構築することには確固たる理由があると主張した。
「多くの交通エコノミストと同じように、私もアメリカのような地理的に大きく、広範囲に広がる国における高速鉄道のメリットには懐疑的だった。だがテキサス・トライアングル(ダラス・フォートワース、ヒューストン、オースティン、サンアントニオ)では、国内の他の多くの地域よりも高速鉄道の必要性を強く感じている。距離は400キロほどで、鉄道の旅にはちょうどいい」と、サベージ教授は指摘した。
「つまり、テキサスは自動車中心の州とみなされているが、人口が急増しているため、ちょっとしたパラドックスが生じている。ここ数十年の急速な人口増加とトラックの交通量の増加により、高速道路は渋滞し、高速鉄道の市場機会が生じるところまで来ている。テキサス州中部は、広大な空き地から、人口密集地域へと変貌を遂げた」
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