最新記事
経済

「読者が選ぶビジネス書グランプリ」第1位に、「お金には価値がない」と訴える本が選ばれたワケ

2024年4月9日(火)17時17分
flier編集部

『きみのお金は誰のため』著者・田内学氏

──本書は小説形式を取られていますが、その理由についてお聞かせください。

前回の本(『お金のむこうに人がいる』)を書く前に編集者の佐渡島庸平さんに相談したら、「内容が正しければ、安倍さん(当時の首相)にも伝わるよ」と言われたんです。

それで書いたら、本当に安倍派の財政問題の勉強会に呼ばれたんですよ。勉強会に出席して感じたのは、政治家はなにが正しいかよりも、どれが国民の支持を得られるかを気にしているということ。一人ひとりの意識が変わっていかないと、日本はちゃんとした方向に向かないのかなと思いました。

前の本は経済に興味ある人は手に取ると思いますが、その外側にいる人たちには届きません。一人ひとりに訴えかけるためには、感情移入して読みやすい小説形式がいいのではと思いました。

──本作には3人の人物(主人公の中学生・優斗、投資銀行で働いている七海さん、優斗と七海さんにお金のことを教えてくれる謎のボス)が登場します。人物設定にはご自身の体験がリンクされていたりしますか?

僕の親は自営業でそば屋をしていました。1階が店舗で2階が自宅。優斗の設定にそっくりそのまま使っていますね(笑)。(注:優斗の両親は自宅でトンカツ屋を営んでいる。)

あと、僕は以前投資銀行で働いていたのですが、金融をわかっている七海という投資銀行で働く女性がツッコミを入れることで、ビジネスパーソンにも気づきを与えられるかなと思いました。

お金がなくても支えてくれる人たちを大切にしよう

──本書の最大のメッセージである「お金自体には価値がない」。敢えてこれを打ち出したのはなぜでしょうか。

お金の価値の源泉って、その裏側にいる人々の働きですよね。いまの経済は貨幣経済が中心になってしまっているけど、実際はそうじゃなくて、人々が支え合って社会がつくられています。

昔はお金が存在しなくて、家族や村社会で暮らしていましたよね。そこにお金が登場することによって、知らない人たちにも協力の範囲が広がっていったわけです。

だけど「お金=経済」になってしまうと、お金以外で助け合っている人たちの「外側」が中心になってしまう。でも本当は、お金がなくても協力してくれる「内側」を広げることが大事なんです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル軟調、対円では上昇 中東リスクな

ワールド

米がホルムズ海峡封鎖を開始、イランは報復示唆 原油

ワールド

アンソロピック 、最新AIモデル巡り米政権と協議継

ワールド

米、ウラン濃縮20年停止を提案 イランとの協議で=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音楽市場で…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中