読書で「自己肯定感」が高まる...ストレス軽減の「癒し効果」、長生きにもつながる読書の効能とは?
人生の源は、「ワクワクすること」にある
──寺田さんの人生観に影響を与えた本は何でしたか。
3冊あって、1冊目は『ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。』という本です。一般的な自己啓発書では、「優先度をつけよう」「意思決定はすばやく」などと書かれていますよね。ですが、この本では逆説的な教えが推奨されています。「決断は後回しにしていい」「やる気が出るまでぐずぐずするのはいいこと」といった具合です。
この本を読んだのは、外資系企業の通訳の仕事がハードで、仕事をやめた時期です。当時は効率至上主義にどっぷり浸かっていたので、真逆の世界観に衝撃を受けました。私たちは、たとえ会いたい人がいても、出向いていくことの費用対効果を考えはじめて気持ちがしぼんでしまうことも。ですが、そんなことを考えずに、「会いたい」という気持ちに素直になったほうが得られるものは多い。「自分がワクワクすること(ソース)」にこそ、人生を活性化させる力が宿っているのだと学びました。
『ソース~あなたの人生の源は、ワクワクすることにある。』
著者:マイク・マクマナス
翻訳:ヒューイ陽子
出版社:ヴォイス
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2冊目は『心の杖ことば366日』。恩師である松原泰道先生が、禅語や和歌、川柳から「心の杖」になることばを一日一言綴った上下巻の本です。「粗(そあら)なることばをなすなかれ(荒々しいものの言い方はいけない)」といったことばが印象的で、10年間毎日のように読み返し、そのたびに心の手入れになる一冊です。
3冊目は、私に古典の面白さを教えてくれた清川妙先生の『兼好さんの遺言』という本です。印象的だったのが、「死は前よりしも来たらず、かねてうしろに迫れり(死は前のほうから来るとは限らない。気づかないうちに音もなく、すぐ後ろに迫っている)」という死生観を表す言葉。でも、その事実に打ちのめされるのではなく、だからこそ「存命の喜びを味わおう(日々を楽しんでいこう)」というスタンスに励まされました。日々スキルアップをして上をめざしていても、うまくいかないこともある。そんなとき、『徒然草』のような思想とそこから得た言葉が自分の軸にあると、支えになってくれるように思います。
『兼好さんの遺言:徒然草が教えてくれる、わたしたちの生きかた』
著者:清川妙
出版社:小学館
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