ヤマハとカワイ...「日本製ピアノ」が世界の舞台で愛される理由とは?
A Musical Journey Through Time
のちに彼は現在の河合楽器製作所(カワイ)の前身となる会社を創業。昭和の時代にヤマハは川上源一、カワイは河合滋という極めて有能な経営者の下で発展を遂げる。
1900年(明治33年)、ヤマハはアップライトピアノの製造に成功する。それから約100年の時を経て、日本人ピアニストの上原彩子がヤマハのグランドピアノを演奏してチャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で優勝した。2002年のことだ。
08年、ヤマハは老舗ベーゼンドルファーを買収する。10年にはロシア人ピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエワがヤマハのピアノを弾き、ショパン国際ピアノコンクールで優勝を果たした。
かつて、19世紀から20世紀初頭にかけては欧米各地で開かれた万国博覧会や楽器見本市でメダルを取ることがピアノメーカーにとって自社製品をアピールする場であり、スタインウェイはこれで売り上げを伸ばした。
だが20世紀半ばには、優秀なピアニストが実際にピアノを演奏するコンクールがこれに取って変わった。
そして、現在最も注目されているコンクールがショパン国際ピアノコンクールなのである。
5年に1度、ショパンの楽曲のみで審査されるこのコンペティションには世界中から有能な若手ピアニストが集まる。メディアもこぞってポーランドの首都ワルシャワに集まる。
この舞台にエントリーが許されたピアノメーカーはたった4つ。ここでよい成績を残すことが、ピアニストにもピアノメーカーにとっても最大のアピールになる。
21年、コロナ禍の影響で1年順延となった第18回大会は中国系カナダ人のブルース・リウが優勝し、彼が選んだピアノメーカーが注目された。