最新記事
日本企業

ヤマハとカワイ...「日本製ピアノ」が世界の舞台で愛される理由とは?

A Musical Journey Through Time

2023年7月14日(金)14時50分
本間ひろむ(批評家)

230711p31_PRS_03.jpg

浜松で山葉寅楠にスカウトされた河合小市。何でも作ってしまう天才少年だった河合は、後にカワイを創業した KAWAI MUSICAL INSTRUMENTS MANUFACTURING CO., LTD.

のちに彼は現在の河合楽器製作所(カワイ)の前身となる会社を創業。昭和の時代にヤマハは川上源一、カワイは河合滋という極めて有能な経営者の下で発展を遂げる。

1900年(明治33年)、ヤマハはアップライトピアノの製造に成功する。それから約100年の時を経て、日本人ピアニストの上原彩子がヤマハのグランドピアノを演奏してチャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で優勝した。2002年のことだ。

08年、ヤマハは老舗ベーゼンドルファーを買収する。10年にはロシア人ピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエワがヤマハのピアノを弾き、ショパン国際ピアノコンクールで優勝を果たした。

かつて、19世紀から20世紀初頭にかけては欧米各地で開かれた万国博覧会や楽器見本市でメダルを取ることがピアノメーカーにとって自社製品をアピールする場であり、スタインウェイはこれで売り上げを伸ばした。

だが20世紀半ばには、優秀なピアニストが実際にピアノを演奏するコンクールがこれに取って変わった。

そして、現在最も注目されているコンクールがショパン国際ピアノコンクールなのである。

5年に1度、ショパンの楽曲のみで審査されるこのコンペティションには世界中から有能な若手ピアニストが集まる。メディアもこぞってポーランドの首都ワルシャワに集まる。

この舞台にエントリーが許されたピアノメーカーはたった4つ。ここでよい成績を残すことが、ピアニストにもピアノメーカーにとっても最大のアピールになる。

21年、コロナ禍の影響で1年順延となった第18回大会は中国系カナダ人のブルース・リウが優勝し、彼が選んだピアノメーカーが注目された。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中