最新記事
ビジネス

「銀行らしさ」からどう脱却するか...堅い銀行でイノベーションを実現させた「みんなの銀行」に学ぶ

2023年6月6日(火)18時09分
flier編集部

重要なのは、視点が違っても両者が「ユーザー=お客様」を見ていること。ときにはかなり激しい喧々諤々の議論がなされますが、みんなをリスペクトして相互理解をしながら、着地点を探るようにしています。このプロセスによって、異質なものがまじりあうことで発生するエネルギーを得て、「銀行らしさ」からの脱却という理想に近づきつつあると思っています。

「知の探索」を進め、イノベーションをめざすには?

──組織経営学者オライリーの『両利きの経営』で提示された “「知の深化」とともに「知の探索」が大事” という考え方が、日本企業にも広がりつつあります。ですが、依然として「知の探索」が難しく、「アジャイル」の考え方をビジネス全体に取り入れることに苦労している企業が多数あります。そうした環境下でも、新規事業でイノベーションをめざす方々に向けたアドバイスをお願いできますか。

「アジャイル」とは、機敏さを保って小さなサイクルを回し続けることでリスクを最小化することを意味します。その本質は最初から完璧なプロダクト提供をめざすのではなく、顧客の声に耳を傾け、少しずつ世の中にフィットするプロダクトへと改善することだと考えています。Appleのスティーブ・ジョブズが、「成功は、失敗しないようにすることではない。失敗とはほとんどの場合、成功が何であるかを会得していくプロセスである」と語っていたことと同じですね。

新規事業というと新しいプロダクトやサービスに目が行きがちですが、あくまで「事業」ですので、運営するための組織や資金、これらを方向づける計画も含めて、小さく、速く挑戦し、きめ細かく軌道修正することが重要です。

また、新しい提案をする際は、「過去に検討した際に、法律上や技術上の壁があるからやらないほうがいい」といった意見が出ることもある。そんなときは、「今も本当にそうなのか?」と問いかけてみます。法律の改正や技術レベルの革新があれば、今は可能かもしれません。みんなの銀行では「INSIGHT(7つの仕事の流儀)」と呼ぶ行動指針を定めています。そのなかに “「できない」ではなく、どうしたら「できる」かを考えよう。” という指針があります。こうした指針に日々立ち返ることが、イノベーションのジレンマから脱出するための一歩になると思います。

両利きの経営
 著者:チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン
 監訳:入山章栄
 解説:冨山和彦
 翻訳:渡部典子
 出版社:東洋経済新報社
 要約を読む
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国1月製造業PMIが50割れ、非製造業は22年1

ワールド

米政府機関の一部が短期間閉鎖へ、予算案の下院採決持

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名

ワールド

焦点:トランプ政権、気候変動の「人為的要因」削除 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 2
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中