最新記事
インタビュー

その本はアルゴリズムに「読まされて」いる──「権威主義的な読書リスト」が役立つ理由とは

2023年5月2日(火)09時10分
ニューズウィーク日本版ウエブ編集部

いま、海外文学はコクトーの『恐るべき子供たち』と『史記』、日本文学は『源氏物語』です。『源氏物語』は原文で読んでいて、ちょうど柏木が死ぬところです。人生で『源氏物語』を読み切ることがあるとは思っていませんでしたが、地道に1日15分ずつ読んでいたら、ちゃんと終わるんだ、と自分でも驚いています。

社会科学はマクルハーンの『グーテンベルクの銀河系』と、西田幾多郎の論文集。西田幾多郎は全然分からないので、参考書を10冊くらい併せて読んでいます。詩集は、ずいぶん前に亡くなった崔華國(さい・かこく)という詩人の作品ですが、これが素晴らしくて、はまっています。

――最後に読書のハードルを下げる工夫はありますか?

読書は動画や音声の視聴のように「ながら」ができないメディアです。しかし、オーディオブックであれば混雑した電車のなかでも〈読書〉ができますよ。

私のお気に入りは、俳優の江守徹が朗読したオーディオブック版の中島敦『山月記』(新潮社)です。文字で読んだときよりも、作品の空気が理解できました。いろんな人に勧めていますが、好評です。

古典は、古今東西、あらゆる人たちが「いい」と認めてきた作品です。自分の判断力など、大してあてになりません。しかし、時間ほど、世の中に信用できる批評家はいません。

ハードルが高いと思っても、頑なに否定せず、少しくらい試してみてもいいのではないでしょうか? 本を読むとは、結局、人類を信じるということです。



kondo-20230427-150.jpg
近藤康太郎(こんどう・こうたろう)
朝日新聞編集委員/作家。著書に『三行で撃つ』(CCCメディアハウス)、『アロハで田植え、はじめました』(河出書房新社)他多数。朝日新聞紙面では、名物コラム「多事奏論」を担当する他、5月より「新聞記者の文章術」がはじまる。



特設サイト:近藤康太郎『百冊で耕す』『三行で撃つ』(※試し読みや関連記事を公開中)


百冊で耕す 〈自由に、なる〉ための読書術
 近藤康太郎[著]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産が九州工場で1週間約1200台減産へ、中東情勢

ワールド

UAE、原油生産が半分以下に ホルムズ海峡封鎖で油

ワールド

アフガン首都病院にパキスタンの空爆、400人死亡=

ワールド

英、若年層の雇用促進策発表 10億ポンド規模
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中