最新記事
経営者

中国では600万部突破──稲盛和夫の『生き方』が世界の人々の心を揺さぶった訳

2023年4月5日(水)18時21分
flier編集部

2つめは「驚きのある企画」です。既視感のある企画ではつまらないですよね。本当に「ブランニュー」になっているか、今の時代にそれを出す価値があるかを考えます。ソフト産業なので、ある程度の失敗はつきものです。それでも、「ブランニュー」をつくろうじゃないかと考えてこそ、私たちの生きる意味も生まれるというものです。

3つめは、「世界に打って出る」ということです。これは経営者になる前、20年以上前から言い続けていることです。漫画やアニメは世界に受け入れられていますが、これは筋書きや技法だけが受け入れられているわけではなく、正直さや真面目さ、他者への思いやりなどの日本人のスピリットが求められているのだと思うのです。そうしたスピリットは、我々の活字の中にも織り込まれているはずです。だから、活字が売れないわけがない。そう言い続けてきました。

近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』は、世界で1300万部を超えています。川口俊和さんの『コーヒーが冷めないうちに』は日本国内ではシリーズ130万部突破、アメリカでもベストセラーになり、イギリスやイタリアでもロングセラーになっています。

小さな出版社からこうした例がたくさんあるのは、運がいいというのも確かです。でもやはり、単なる偶然とまでは言い切れないのではないかなと思います。本自体のエネルギーがあることが前提ですけれども、世界へ打って出ようという志がなければ、海は渡れなかったと思いますから。

──国内でのロングセラーやベストセラーだけでなく、世界への広がりを実現されているんですね。何か特別な取り組みをされているのでしょうか。

コロナ禍で今は中断してしまっているのですが、フランクフルトで行われている世界最大のブックフェアを全社員に経験してもらうようにしてきました。世界中から本に関わる人たちが集まって、ライツ(著作権)を売り買いする場なのですが、本を愛する人たちばかりが集まっていて、国境を越えた思いに胸が熱くなります。ブースのつくりも素晴らしくて、大変勉強になります。これを全員に体験してもらおうと、業績の良い年を中心に社員に順々に行ってもらうことにしました。帰りには他の都市によってもらったりもしましてね、それも良い経験です。

じつはサンマーク出版は、世界では知られた出版社なんですよ。向こうのブックフェアではサンマーク出版のブースも盛況で、たくさんの方がパンフレットを求めにいらっしゃいます。実際に行った社員からは、サンマーク出版が世界で注目されているのを肌で感じられた、いろんなブースで世界の本を見てこられて視野が広がったという話を聞いています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ビザ10─12月期、利益が予想上回る 年末消費が

ワールド

FBI長官候補、「政治的報復」から職員守ると公聴会

ワールド

ソフトバンクG、オープンAI出資で協議 評価額30

ビジネス

米アップル、堅調な売上高見通しで株価上昇 iPho
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中