最新記事
経営者

中国では600万部突破──稲盛和夫の『生き方』が世界の人々の心を揺さぶった訳

2023年4月5日(水)18時21分
flier編集部

こうした取り組みを中心に、社員の経験になるようなことを先行投資としてやってきています。それが本が売れることと相関があるのかと言われると、関係がないかもしれない。でも、そんなことを考えなくてもいいんですよ。刺激になる経験をすることで、何かが開くかもしれない。開かなければ、社員がエンジョイしてくれればいい。新しいものやおもしろいものを見ることが本人の役に立つかもしれないけど、役に立たなくてもかまわないと思っているんです。

袋小路の中で考えるのではなく、世の中にたくさんあるおもしろいものに触れて、壮大な心で挑戦してほしいですね。失敗してもかまわないから、また次の挑戦をしようと、そういう考えを私は大事にしてきたつもりです。失敗もたくさんしてきましたけどね。でも、最初は無駄に見えるようなことが、本づくりや本を広げることにつながった例もたくさんあります。

──挑戦を奨励する取り組みが実を結んでいるんですね。他の取り組みについてもぜひお聞かせください。

本然にのっとって仕事をすると結果を出しやすいという観点から、「編集者特権」というものを設定しています。先ほどお話しした『コーヒーが冷めないうちに』は、もともと演劇なのですが、たまたま舞台を見た編集者があまりにも感動して、脚本家に本にしてもらいたいと企画を出したんです。でも、当時の編集長はダメを出したんですよ。小説に強い出版社ではありませんでしたから。

ところがサンマーク出版には「編集者特権」というものがあって、社長や編集者が何と言おうと、年に1冊だけ編集者が本当に出したいと思う本が出せるという制度があるんです。それで『コーヒーが冷めないうちに』を2015年に刊行したら、これもロングセラーになって、世界に広がっている。ここからもっとすごいことが起きるかもしれないという期待がありますね。

──どの本づくりにも、熱いドラマがありますね。

230331fl_ipi02.jpg

思うことから、すべては始まる
 著者:植木宣隆
 出版社:サンマーク出版
 要約を読む
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今の悩みを、『生き方』で照らす

──時代も国も越えて愛されている『生き方』ですが、今のビジネスパーソンにおすすめするとしたらどんな読み方があるでしょうか。

人はその時々でいろんな悩みを抱えて生きていますよね。そうした自分の問題を、この本を読むことによって照らし出してみようとするなど、自分なりのテーマを持って読むことが、一つの方法になると思います。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、「やや制約的な政策を続け

ビジネス

サムスン電子、モバイル事業責任者を共同CEOに 二

ワールド

原油先物は3日続落、供給増の可能性を意識

ビジネス

「コメントしない」と片山財務相、高市政権の為替への
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中