10万件の悩み相談を受けた精神科医が気付いた、メンタル不調を抱えてしまう人の「共通項」
──樺沢先生ご自身はあきらめた経験はありますか?
私は基本的に淡々とやり続けますね。たとえばYouTubeは今でこそ40万人の登録者がいますが、最初の3年くらいは大変でした。でもまあ「1000本くらいアップすれば、みんな見るようになるんじゃないの?」と考え、8年間毎日欠かさずアップし続けました。未来の自分を信じて、淡々と行動したんですね。
みなさんもたとえば「本や映画を見たらTwitterに感想を書く」など、できることをできる範囲で続けてみたらいいのではないでしょうか。
──淡々と続けるのですね。
「やるぞー!」というのは、せいぜい3カ月しか持ちません。会社のプロジェクトなど期間限定であればいいのですが、1年や2年になると燃え尽きたりうつになったりします。できる範囲でやることが大事です。
私が患者さんによく言うのは「できる範囲でやっていれば、病気にはならないんですよ」ということ。無理してやるから病気になるんです。ただ、力が100あったとしたら、そのギリギリを攻めることが大事です。怠けて70~80でやっていたら結果は出ませんから。自分のパフォーマンスのギリギリを攻めていくことが、疲れずに長く続けられるコツだと思います。
あなたを応援してくれる人は必ずいる
──そのようにして本をたくさん出されて、YouTubeやSNSで毎日発信しながら映画の感想も書かれているのですね。
文章を書いたり情報発信をしたりするって、基本的に楽しいんですよ。ポジティブな反応が必ず起きますので。でもみなさん、ネガティブな反応に注目しちゃうんですね。私は「1:2:7の法則」とよく言うのですが、10人いたらあなたを嫌いな人は必ず1人はいる、でも応援してくれる人は2人いて、残りの7人はどうとも思っていない。これは職場にも当てはまり、反論してくる人は必ずいるけど、応援してくれる人はその倍くらいいます。でも、その人たちは自分で探さないと見つかりません。本書にも「相談する人がいません」という人が出てきますが、絶対にいるんですよ。それに気づくには、自分から相手に話しかけてコミュニケーションをとっていくことが大切なのではないでしょうか。
──最後に、樺沢さんが今後やっていきたいことを教えてください。
情報発信によるメンタル疾患の予防ですね。たとえば、睡眠を削るとうつや認知症になるリスクは高まります。でも、みなさんそれを知らないんですよ。知っていれば「今日は徹夜しないで早めに終わらそう」とか思うはずです。知るだけで予防できることがある。だから健康や予防に役立つ情報を、できるだけ多くの方にお伝えしたいと思っています。