最新記事
BOOKS

究極の遅読は「写経」──人生を豊かにする「遅読」4つのテクニックとは?

2023年3月8日(水)09時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

(2)ドッグイヤー、アンダーライン、メモ、付箋──わたしの証

ドッグイヤーとは、ページの上端・下端を三角に折っていくこと。

アンダーライン(傍線)は、シャープペンシルでも色鉛筆でも蛍光ペンでも、なんでもかまわない。

本に印をつけていく。わたし自身は、蛍光ペンより書くのが速く、赤鉛筆ほど目立ちすぎない、黄色のダーマトグラフを愛用している。特に重要だと思ったところは、ページの余白にメモも取る。

本は、たしかに大事なものだ。人類の宝だ。しかし、大事にしすぎると、本を読む意味はほとんどなくなる。使われない名刀は錆びる。

庶民は紙の本など一生に一度も手にしない時代があった。印刷された本が少なかったから、読書とはすなわち、希少な本を繰り返し熟読、精読することだった。江戸時代の学者、伊藤仁斎は論語を五十年、読み続けた。本居宣長は古事記や源氏物語を、35年読んだ。

いまから1000年以上前、平安時代の貴族にとっても、紙の本はきわめて貴重なものだった。源氏物語で、光源氏の息子の夕霧は、大学で学んだとき漢籍に爪の跡を残して勉強した。紙は汚せなかった。大臣の息子にしてからがそうなのだ。

それに比べれば、百冊読書家は王侯貴族以上だろう。光源氏より、上だ。本は、安い買い物なのだ。現代に生まれた幸運に感謝して、本を折ろう。線を引こう。メモを残そう。

どうしても抵抗があるならば、付箋を貼って、メモをそえる。読書日記をつける。読書とは痕跡のことだ。著者とつきあうことだ。自分の感情、思考、その痕跡を残す。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中