世界で食料品の価格が高騰 主な原因と今後の展望まとめ
FAOによれば、4月には乳製品と食肉の価格も過去最高に達した。タンパク源へのグローバルな需要増大が続いており、またトウモロコシと大豆を中心とする家畜飼料の価格が高止まりしていることを反映している。さらに、欧州と北米における鳥インフルエンザの発生により、鶏卵や鶏肉の価格にも影響が出ている。
米国における3月のインフレ率を見ると、食肉、鶏肉、魚介類、鶏卵の指数は1年前に比べ14%、牛肉は16%上昇している。
食料価格はいつ下がるか
何とも言えない。農業生産は天候など予測困難な要因に左右されるからだ。国連のグテレス事務総長は5月初め、ウクライナの農業生産と、ロシア産食料と肥料の世界市場への供給が回復しないかぎり、グローバルな食料安全保障の問題は解決できないと述べている。
世界銀行は、2022年の小麦価格は40%以上上昇する可能性があると予測している。世銀では2023年には前年に比べ農産物価格が下落すると見ているが、アルゼンチンやブラジル、米国からの穀物供給が増大することが前提であり、これについては何の保証もない。
肥料の主要生産国であるロシアとその同盟国であるベラルーシからの買い控えの影響で肥料の価格が急騰しているため、農家が適切な量の施肥をためらう可能性がある。これは収量の減少や生産の低下につながり、危機の長期化を招くかもしれない。地球温暖化によって異常気象が以前よりも一般化しつつあり、これもまた、穀物生産にとってリスクとなっている。
最も影響を受けているのは
フィッチ・レーティングスによれば、米国では3月、インフレに占める食料価格のシェアが最大となった。これは1981年以来初めてのことだ。4月、英国における店頭価格も、過去10年以上見られなかったペースで上昇した。だが食料価格の上昇により最大の影響を受けているのは、所得に占める食費の比率が先進国より高い開発途上国の住民だ。
国連と欧州連合が共同で設立した食料危機対策グローバルネットワークは年次報告の中で、ロシアによるウクライナ侵攻はグローバルな食料安全保障に深刻なリスクとなっていると指摘。食糧危機に直面している国として、特にアフガニスタン、エチオピア、ハイチ、ソマリア、南スーダン、シリア、イエメンといった国を挙げている。
(翻訳:エァクレーレン)
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