ロシア国債が「潜在的デフォルト」 投資家は法的手段を模索
ロシア国債の保有者は裁判を起こすことができる。しかし補償の獲得や資産の差し押さえを目的としたこうした手続きは、費用がかかり、時間も長引くことが多い。相手がロシアの場合、法的措置を進めるのは一層厄介になるだろうと弁護士は見ている。
というのも問題となっているロシア国債の起債条件は紛争が起きた場合の管轄地を定めていないためで、債券保有者はどこで訴訟を起こすのかを決めるのが一段と困難になる。
また、ロシアのシルアノフ財務相は、西側諸国からデフォルトを強いられれば法的措置を取ると述べており、ロシア政府は支払い能力の欠如を制裁のせいにする防衛策を取ると、弁護士らは予想している。
国債の発行条件は英国法に縛られている。英国法には「目的の達成不能」という「不可抗力」に似た法原理があり、ロシアはこれに基づいて主張を展開することができる。つまりロシア政府が、支払いを行おうとしたが、制裁のために西側がそれを許さなかったと主張することは可能なのだ。
バージニア大学の法学教授で、債務再編の専門家であるミトゥ・グラティ氏は「ロシアはこうした論陣を張る」と見ている。ただ、ロシア政府の成果は限定的だと予想。「確かにこれは戦争だが、ロシアが引き起こした戦争だ」と指摘した。
投資家にとってもう1つの選択肢は、ロシアに対して直接仲裁を求めることだ。投資家と国家間の紛争の仲裁では、二国間投資条約を結んでいる国の債権者が、国に対して直接請求を行い、金銭的な損害賠償やその他の救済を求めることが認められている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、ロシアは欧州連合(EU)加盟国の大部分、英国、カナダなど数十カ国とこのような条約を結んでいる。
フラニツキー氏によると、こうした仲裁手続きは米国の裁判所で執行される可能性がある。
「悪夢のシナリオは、ウクライナ問題が解決せず、制裁が数カ月、いやもっと長く続くことだ」と言う。
(Rodrigo Campos記者、Karin Strohecker記者)
【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に